レノボ・ジャパンは3日、同社初となるネットブック「IdeaPad(アイデアパッド) S10e」を発表した。同社は「ThinkPad」ブランドのノートPCを法人向けに提供しているが、IdeaPadでコンシューマ市場に参入する。ホワイト・ブルー・ピンクといったカラーバリエーションを揃え、6日より順次発売。価格は54,800円。
台湾ASUSTeK Computerの「Eee PC」で火がついたネットブック市場だが、マーケットの急速な拡大を受け、各社とも無視できない存在になってきている。当初はASUS、GIGABYTEなど台湾勢が先行していたが、ここにきてエプソンダイレクト、東芝、NECなど国内メーカーも製品を投入してきている。レノボ・ジャパンは"後発"といえる。
出遅れた理由について、同社マーケティング&広報本部長・執行役員の原田洋次氏は「市場のニーズを見極めていた」と説明。「満足してもらえて、かつ差別化できるような製品を出したいと考えた。それが値段なのかスペックなのか検討したところ、我々の出した答えはスペック重視。様々な用途に対応できるように、IdeaPad S10eにはいろいろ搭載した」という。
IdeaPad S10eの仕様は以下の通り。CPUこそAtom N270と一般的だが、約5.3時間という長いバッテリ持続時間、ExpressCardスロットの搭載、といったあたりは特徴的と言えるだろう。ExpressCardスロットはネットブックとしては珍しいが、これはモバイル用途として、通信カードの利用を重視したためだという。
■IdeaPad S10eの主な仕様 | |
OS | Microsoft Windows XP Home Edition SP3 |
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CPU | Intel Atom N270(1.6GHz) |
チップセット | Mobile Intel 945GSE Express |
グラフィック | GMA 950(チップセット内蔵) |
メモリ | 1GB(オンボード/512MB + PC2-5300/512MB) 最大1.5GB |
HDD | 2.5インチSATA 160GB(5400rpm) |
ディスプレイ | 10.1型ワイド液晶(1024×576ドット) 光沢あり |
有線LAN | 10BASE-T/100BASE-TX |
無線LAN | IEEE 802.11b/g |
Bluetooth | Bluetooth 2.1 + EDR準拠 |
内蔵カメラ | 130万画素 |
カードスロット | ExpressCard/34、4in1メディアカードリーダー |
本体サイズ | W250×D196×H22~36mm |
本体重量 | 約1.38kg(バッテリ含む) |
約5.3時間 |
Lenovoはすでに、海外ではIdeaPad S10というネットブックを販売しているが、S10eはS10をベースに、いくつかの機能を追加したものだ。S10eのみに実装されている機能としては、OSを起動しなくてもブラウザ、メッセンジャー、音楽プレイヤーなどを利用できる「Lenovoクイック・スタート」、アプリケーションをワンタッチで起動できる「Novoボタン」などがある。
ベースとなるIdeaPad S10は中国で開発されたものだが、同社ノートブック開発研究所・第二開発部長の城下哲郎氏によれば、IdeaPad S10eは、ThinkPadを開発している大和事業所が主導した製品だという。同社の設計品質基準には、「我々の開発のバイブル」(城下氏)という67文章の規定「Lenovoスタンダード」があり、ThinkPadにはさらに追加の規定が設けられている。S10eはThinkPadと同じ品質基準になっており、生産ラインも同じとのこと。
このIdeaPad S10eは、同社初のネットブックというだけではなく、同社初のコンシューマ向け製品でもある。同社のThinkPadシリーズには熱心なファンが多く、現在でも個人で利用しているユーザーは多いのだが、製品としてのターゲットはあくまで法人向けだった。S10eで初めてコンシューマ市場に参入するということで、サポート体制を整え、量販店での販売にも力を入れる意向だ。