うるう秒を目にするのは簡単ではない!

この次はいつお目にかかれるかわからないうるう秒。せっかくなら"60秒"という時刻を目や耳に焼き付けておきたいところだが、どうやらそれは簡単なことではないらしい。なぜなら、私達の下に届くのは調整された時刻になるためだ。

例えば、NTTが提供する時報サービス。正確な時刻を一般向けに提供する代表的なサービスだが、同サービスでは、100秒前から1秒当たり0.01秒ずつ長くして、うるう秒が表に現れないかたちに調整するという。0.01秒を体感するのは難しいので、時報サービスを聞いていてもうるう秒の気配すら感じられないだろう。

多くのシステムでは100秒かけて1秒を修正する処理が行われる。NTTの時報サービスも同様の処理が行われるため、電話で聞いていても"60秒"は体験できない

また、自動調整機能により正確な時刻表示を行う電波時計だが、「うるう秒を自動的に挿入するものもあるものの、そこまで細かい調整を行う電波時計は少ない。大半は1日1回程度しか補正を行っておらず、うるう秒もそれで対応されることになるだろう」(小山氏)という。したがって、次の自動調整が行われるまで1秒進んだ状態が続くというだけで、直接的にうるう秒を感じ取ることはできない※1

※1 電波時計向けの時刻を知らせる電波「長波標準電波」では、12月2日9時(日本時間)よりうるう秒情報ビットLS1、LS2に「1」が立てられて予告されるほか、うるう秒挿入時にも特殊な対応が行われる。

さらに、ネットワーク上の時刻提供サービス「NTP(Network Time Protocol)サービス」でも相応の対応が行われるものの、そのズレがどのタイミングでどう修正されるかは、エンドユーザーに近いサーバやソフトウェアの処理次第であり、特別な措置が行われるケースはあまりないので、やはりお目にかかることは難しい。

NICTのWeb上で公開されている時刻で確認することもできるが、「回線の状況によって、1秒以上遅れることや、つながりづらくなることもあるので注意してほしい」(小山氏)という。

そういうわけで、通常の生活の中でうるう秒の瞬間をつかまえるのは簡単ではない。確実なのは、「東京都小金井市にあるNICTの建物に取り付けられた時計を見ること」(小山氏)のようだ。当日は一般公開されているので、数年に一度のイベントを楽しみたい方はこちらを訪れるとよいだろう。

>> うるう秒が及ぼす社会的影響とは?