欧州連合(EU)で審議されているSMS(テキストメッセージ)とデータ通信の域内国際ローミングサービス料金の規制について、11月27日(ベルギー時間)、EUテレコム理事会が欧州委員会(EC)の規制案を採択した。来年夏の導入に向け、一歩前進した。
この規制案は、EU加盟国のユーザーが国外(EU圏内)において携帯電話経由でSMSとデータ通信を利用時に課金される国際ローミング料金に対し、上限(プライスキャップ)を定めるというもの。
ECは2007年6月30日に音声通話における国際ローミング規制「EU Roaming Regulation」を実施、「Eurotariff」という上限を設けている。今回の規制案は、SMSとデータ通信を対象とした「EU Roaming Regulation II」として、今年9月23日にECが発表したもの。ここでECは、SMSのローミングサービス料金の上限として1通0.11ユーロ(約12円)を提案している。現在、EU加盟国の平均ローミング料金は0.29ユーロで、約60%の削減となる。データ通信に関しては、1MBあたりのローミング料金上限を1ユーロ(約123円)とするほか、オペレータに対し、加入者が国外に出た際にローミング料金を自動通知することを義務付ける。
ECは同時に、EU Roaming Regulationの実施期間を2010年から3年延長し、2013年とすることも提案していた。
今回、テレコム理事会がECのアプローチを採択したことを受け、今後欧州議会で審議される。ECでは、当初の予定通り、2009年7月1日に施行したいとしている。
モバイルオペレータの業界団体GSM Association(GSMA)はECが規制化の動きを発表した今年7月、反対を表明している。それによると、ECが自主的値下げを呼びかけてから1年の間で、SMSの国際ローミング料金は18%下がっているという。
音声通話を対象としたEU Roaming Regulationでは、発信の場合のローミング料金は0.49ユーロ(約60円)、着信では0.24ユーロ(約29円)。これにより、ローミング料金は最大で70%下がったという。ECでは、規制後、国外音声通話トラフィックが30-35%増加したと規制の効果を強調している。