SNS大手の米MySpaceは、SNSをプラットフォームにさまざまなサービスを提供している。そのひとつが、米国で9月25日にスタートした音楽配信サービス「MySpace Music」だ。

MySpaceは世界的に若いユーザーを抱えるSNSで、アーティストはすでに自分のページで音楽をプロモーションしてきた。MySpace Musicは今後、どのような戦略を採っていくのか。MySpaceの国際部門エンタテインメント担当上級副社長 Jamie Kantrowitz氏に話を聞いた。

Jamie Kantrowitz氏

--米国でスタートしたMySpace Musicの内容と現状について教えてください。

MySpace Musicは、9月後半にスタートした音楽サービスです。広告ベースのフルストリーミングサービスで、無料で音楽を楽しめます。ソーシャルな要素を取り入れ、オーディエンス(ファン)と音楽バンドの関係を変えるものです。

MySpaceではこのサービスを立ち上げるにあたって、Universal Music、Warner Music、EMI Music、Sony BMG Entertainmentの4大レコードレーベルとジョイントベンチャーを立ち上げました。インディーズ系のThe Orchardなど、ほかの企業とも提携しました。提携したレーベル各社はMySpace Musicで自社の全音楽カタログを提供しています。英The Filterと提携し、フィルタリング機能も提供します。

ストリーミングだけではなく、ストリーミングした音楽を購入することも可能です。価格は提携した企業が決定するもので、米国ではAmazonと提携しました。Jamster経由で着メロも購入できます。

ソーシャルな要素としては、プレイリストがあります。ユーザーは、友達やアーティスト経由で発見した音楽をプレイリストに入れ、オンライン時に好きなだけ再生できます。1つのプレイリストにリストできる曲は最大100曲で、プレイリストは無制限に作成できます。

狙いは、MySpaceユーザーに最高の音楽エクスペリエンスを提供することです。具体的に言うと、自分の好みにカスタマイズしたサービスを提供することです。これにあたり、360度のビジネスモデルを目指しており、オンライン音楽で必要なアプリケーション、サービス、ツールをすべて1つにまとめ、MySpaceエクスペリエンスとして提供するアンブレラ型サービスを目指しています。

第1フェーズとして、まず米国でローンチしました。最初の1週間で10億曲以上がストリーミングされました。

--他社の音楽配信サービスとの差別化は?

MySpaceを利用するアーティストは500万人おり、月間ユニークユーザーは3,000万人以上です。MySpaceは音楽サービスを開始する前から、最大かつ最もポピュラーな音楽コミュニティで、レコードレーベルと音楽バンドはすでに形成されているオンラインコミュニティにアクセスできます。

レーベルやバンドは、最新ニュースの配信やアップデートにより、MySpaceコミュニティと定期的にコミュニケーションできます。プロモーションのプラットフォームとしては、申し分ないものといえるでしょう。MySpace Musicと比較できるサービスはないと考えています。

高音質も特徴で、MySpace Musicでは320kbpsで提供しています。

--MySpace MusicはDRM(デジタル著作権管理)フリーです。DRMフリーにした理由は?

ユーザーが音楽を消費する形態は多様化しています。MySpaceは、ユーザーが音楽を消費する方法を選択/定義できるようにしたいと考えています。制限を設けたくないので、全世界でDRMフリーで提供します。