「Inter BEE 2008(第44回 国際放送機器展) 」が、11月19日~21日の期間、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された。会場は映像・放送関連機材部門、プロオーディオ部門、プロライティング部門の3つから構成されているが、このうちプロオーディオ部門には楽器メーカー、オーディオ機器メーカー、レコーディング機器メーカーなど100社強がブースを並べ、さまざまな製品が展示された。
本来Inter BEEは業務用の機材の展示がメインではあるが、完全な業務用に限らずホームユースでの音楽制作ツール、レコーディング機器、DTM機材・ソフトウェアなどもいろいろと展示されていた。そこで、参考出品の製品や新製品などをいくつかピックアップしてみよう。
プロ・オーディオ・ジャパンブース
プロ・オーディオ・ジャパンでは、12月中旬の発売(オープン価格で、実売4万円前後になる模様)を予定しているAKAI professionalブランドのウィンド・コントローラ「EWIUSB」を参考出品した。同製品はUSB接続のデバイスで、サイズは42(W)mm×41(D)mm×586(H)mm、610g。USBバスパワー駆動であるため、バッテリーも不要で軽い仕上がりとなっている。リコーダーはもちろん、サックス、フルート、オーボエ、トランペットなどの運指モードを備えており、ほとんどの管楽器としての使い方が可能だ。WindowsとMacのハイブリッドのソフトウェア音源もバンドルしており、スタンドアロンで利用できるほか、DAWへのMIDI入力デバイスとしても利用できる。
メディア・インテグレーションブース
メディア・インテグレーションでは、IK Multimediaのマスタリングソフト「T-RackS」の新バージョン「T-RackS3 Deluxe」を国内で初公開した。従来からの4つのコンポーネントに加え、ビンテージ・チューブ・コンプレッサや、リニア・フェイズEQなど5つのコンポーネントを追加するとともに、新たなメーターを装備するなど機能強化も図られている。こちらは年内発売の予定で価格が6万9,300円。また従来のT-RackSと同様に4つのコンポーネットから構成されるT-RackS3 Standardも同時にリリースされる予定で、こちらは従来よりも安い2万7,300円となっている。
TCエレクトロニック日本支社ブース
TCエレクトロニック日本支社では先日発売された「PowerCore」の新ラインナップ「PowerCore 6000」を展示。PowerCoreはホスト・コンピュータのCPUに負荷をかけずに高品位なエフェクトプロセッシングを可能にするDSPのユニット。PowerCore 6000はPCとFireWire接続する1Uラックマウント型のデバイスで、実売価格は約38万円だ。同社のフラグシップ製品であるSYSTEM6000のプラグインの中から「VSS3 Stereo Source Reverb」、「MD3 Stereo Mastering」など7種類が標準で付属するほか、PowerCore標準のプラグインが14種類バンドルされる。
フックアップブース
フックアップでは、PowerCoreなどよりも、さらに手軽に使える外部接続デバイスを展示した。これはSM PRO AUDIOというオーストラリアのメーカーが開発した「VMACHINE」という製品でVSTおよびVSTインストゥルメントのプラグインを動かすことができるデバイス。PCとUSB接続して使うことで、PCのCPUに負荷をかけることなくプラグインを使うことができるのだが、PowerCoreとは違い、専用のソフトを使うのではなく、一般的なVSTのプラグインがそのまま使えてしまう点が非常にユニークだ。さらに、USBから切り離して単独で動作させることも可能であるため、プラグインをPCなしで起動させることが可能となっている。本体にはUSBの端子を装備しているほか、オーディオの入出力ポートなども装備している。同製品は参考出品であり、発売は年内を価格は8万円程度を検討しているようだ。
その他のブース
そのほかデジデザインではまもなく発売されるProToolsの新バージョン「ProTools8」のデモを行うとともに、同製品に、ソフトシンセが5種類、エフェクトが20種類新たに搭載されることなどをアピール。ヤマハでは「Cubase 4.5」をサードウェーブの「Core i7」のPC上でデモし、負荷が非常に軽くなっている点などを見せていた。
また、20日にはヤマハによるチュートリアルとして「いまさら聞けないデジタルオーディオの基礎」が実施された。無料の事前申し込み制となっていたが会場は満席となり、サンプリングの基礎や同期について、また圧縮オーディオの位置づけなどが1時間にわたって解説された。