今年も「11月第3木曜」がやってきた。そう、ボジョレー・ヌーヴォー解禁の日だ。わが国日本でも深夜のカウントダウンが恒例になって久しい。なんといっても日本はこの「ボジョレー・ヌーヴォー」を時差の関係で世界で最初に飲める"特権"をもっているのだから。さてさて今年のボジョレーの出来具合はどうなのだろうか。ここからは、ソムリエの資格を持つライター小山田がレポートさせていただく。
ということで、解禁日当日に東京・南麻布のフランス大使館において開催された、記者会見及びボジョレー・ヌーヴォの試飲会に参加した。このイベントは毎年恒例なのだが、いつもと違っていたのはボジョレーワイン委員会が日本におけるPRにこれまで以上に大きなメディアキャンペーンを打っていたという点。毎年行なうカウントダウンパーティに加え、今年はファッションショーやジャズライブ、更には新聞や中吊りといったありとあらゆる戦略でアピール。実際私が聴いているラジオでも盛んに「ヌーヴォヌーヴォ」と連呼されていた。2008年だけで580,000ユーロ(約7,000万円!!)を投入したという。
ナゼそんなに宣伝するの?
それはナゼかと言われれば。それは、日本が世界トップのボジョレー・ヌーヴォー輸入国だから。2007年のデータを見ると、輸入量では第2位のアメリカの約3倍、第3位のドイツの約4倍となっている。ぶっちぎりのトップである。それでも近年の輸入量は芳しくなく、2007年はピークだった2004年の約2/3となっていた。
金融不安が叫ばれてからは日本におけるユーロ安が進行しているが、それでも「じゃあ明日から反映される?」といわれればそういうわけでもないのが現状で、実際ユーロ安が還元されるのは来春くらいからだろうか。ということで、今回のヌーヴォーに関しては相変わらずのユーロ高の時の価格のまま。したがって昨年よりも割り高である。ボジョレーワイン委員会にとって、今年の大規模なキャンペーンはそんな状況を打破する策でもあり、何より一番の顧客への感謝の表れでもあるのだろう。