KDDIは19日、au携帯電話の新製品として、人気漫画「社長 島耕作」とコラボレーションした「島耕作ケータイ」を限定3,000台で発売すると発表した。発売は、電子書籍サービス「EZブック」内にて、20日から先着順に受け付けを開始する。特典として、劇中で島耕作が社長を務める「初芝五洋ホールディングス」の社章や社員証などが付属する。価格は、フルサポートコースの一括払いが26,730円、シンプルコースが42,480円。
「社長 島耕作」は、漫画家弘兼憲史氏が週刊漫画誌「モーニング」誌上に連載する長寿漫画で、連載期間25年、シリーズ累計発行部数3,600万部を誇る人気漫画。長期連載の間に一介の営業マン(「ヤング 島耕作」)から社長(「社長 島耕作」)へと出世を遂げた"日本一有名なサラリーマン"島耕作とコラボレーションした端末。ベースとなるのは「W62P」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ製)で、初芝五洋ホールディングス傘下の初芝電器産業の「HATSUSHIBA」ロゴが刻印され、「初芝電器産業製」というリアリティを追求したということで、「初芝電産」の携帯電話参入第1弾製品という位置づけだ。
内蔵コンテンツとして、「島耕作ケータイ」限定の待受画面や各種メニュー、電池ピクトなどのデザインに島耕作を起用した「EZケータイアレンジ」と、島耕作の過去の名言集を集めたEZブック「島耕作のビジネス哲学」を同梱。いずれもこの端末限定コンテンツとなっている。
そのほか、EZブックとして「課長 島耕作」「部長 島耕作」「取締役 島耕作」のそれぞれ1話分をプリインストールする。
さらに、初芝五洋ホールディングスの社章、島耕作ら主要登場人物5人の社員証、弘兼憲史氏が直筆したサインシールという非売品のプレミアムグッズを同梱している。
島耕作の初芝五洋ホールディングスは、弘兼氏の勤めていた松下電器産業(現パナソニック)をモデルとしており、今回、コラボレーション端末としてパナソニックのW62Pが選ばれた。島耕作ケータイは、著名作家がEZブックで漫画を書き下ろすことを記念したEZブック内の「ケータイdeコミックフェア」のサイトで販売される。
KDDIのコンテンツ・メディア本部長雨宮俊武氏は、携帯電話向け電子書籍がここ1年半で約2倍と順調に売り上げを伸ばしており、利用者単価も上がってきていると指摘。「電子書籍は単価が高くて我々にとっていいビジネス。最近はメジャーな作品が電子化することで(売り上げが)伸びている」と話す。
EZブックのユーザーは現状で若い女性が多いとのことだが、雨宮氏は今後「全年代、男性にも広げたい」と意欲を見せる。そのために、「ケータイの画面の中でさまざまな表現ができる取り組みをしていきたい」(雨宮氏)考えで、さらに配信する電子書籍のジャンルを広げて利用者の拡大を図る考えだ。
また今回の島耕作ケータイは「出版業界(講談社)との協力で(実現に)こぎ着けた」(同)もので、このようにコンテンツとリアルの連携を今後も狙っていき、「出版ビジネスの発展に貢献できれば」という。
今回の企画に携わったKDDIコンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部長の竹ノ内剛氏によれば、今回の端末は「KDDIの社員が初芝電産に出向して作り上げた」(竹ノ内氏)もので、初芝電産は来年3月に新ブランドを立ち上げるため、「初芝電産(ブランド)の最初で最後のケータイ」になるという。
同梱の初芝五洋ホールディングスのグッズにも力を入れており、社員証は弘兼氏の古巣パナソニックにそっくりなもの。社章は劇中に出てくるものと形も色もそっくりに仕上げた。サインシールは、弘兼氏ではなく、島耕作が書類などにサインする際に使うもの(日本語・英語)で、「実際に島耕作がサインしたもの」(同)だ。
リアルとコンテンツの連携では、広告で講談社の雑誌内に「島耕作社長が"島耕作ケータイ"について語る」というインタビュー記事などを掲載していく。また、11月27日発売の「モーニング」誌で「島耕作ケータイ発売を記念したケータイ開発秘話」が掲載され、その続きをEZブックで無料配信する新しい取り組みも行う。
「本物のプロダクトと(漫画を)組み合わせることでケータイへの思い入れを持ってもらいたい」(同)。
ちなみに、モーニング編集部の都丸尚史副編集長によれば、作者の弘兼憲史氏は今回の製品について、「実物を見たときに、色も高級感があって満足していた」という。弘兼氏は、「『漫画の中で島耕作に使わせてみようかな』といっていた」とのことで、今後劇中で島耕作が使う島耕作ケータイが見られるかもしれない。
島耕作社長本人は、この携帯電話に対して「初芝の技術と感性そして未来を感じていただきたいです」と話している。