米AMDは11月13日 (現地時間)、ATI Radeon HD 4000シリーズのグラフィックスカードでATI Streamアクセラレーションを利用可能にするCatalystドライバーを12月10日にリリースする計画を発表した。ATI Streamは、GPUの優れた並列処理性能をグラフィックス以外の演算に活用する、いわゆるGPGPU (General Purpose GPU)を実現する技術セットだ。「Catalystドライバーのアップデートを通じて、数百万枚のATI RadeonグラフィックスカードのATI Streamアクセラレーションがアンロックされる」とAMD。Stream対応ドライバー提供で、CUDAでGPGPU市場を開拓するNVIDIAに対抗する。
Catalystの次のリリースはバージョン8.12。同社はCatalystのアップデートにあわせてStream対応のトランスコーディング・ユーティリティ「Avivo Video Converter」を無償ダウンロード提供する。グラフィックス・プロダクトグループのシニアバイスプレジデントRick Bergman氏によると、Radeon HD 4850グラフィックスカードを使ったテストで、CPUのみの変換に比べて最高で17倍の高速化が確認された。1時間のビデオをiPod向けにトランスコードするのに、これまで3時間を要していたが、Streamアクセラレーションを用いたAvivo Video Converterでは12分で完了したそうだ。また他のGPGPUソリューションとの比較では、「Avivo Video Converter (とAMDプラットフォームの組み合わせ)は競合に比べて半分程度のコストで最大2倍のスピードのビデオ変換を提供する」とBergman氏。
GeForce GTX 280+Badaboom Media ConverterとRadeon HD 4870+Avivo Video Converterでビデオ変換を比較するデモ。Avivoが先に48秒で終了 |
非HDコンテンツをGPUによる補完処理で精細に見せる「SimHD」を使ったSreamのデモ |
ISVのATI Stream対応も進んでいる。ArcSoftが「SimHD」にStreamを活用したシアターソフト「Total Media Theatre」を今年12月に提供する予定だ。またCyberLinkが2009年第1四半期に、Streamを用いたビデオ変換をサポートするビデオ編集ソフト「PowerDirector7」をリリースする。これらのほかAMDのプレゼンテーションでは、AdobeとMicrosoftの名前も挙げられた。