中国移動が最大のデジタル音楽販売業者に
2007年、多国籍企業であるレコード会社数社が連名で、百度が提供する無料音楽ダウンロードサービス「百度MP3」に対し訴訟を起こしたが、北京市中級人民法院はそれらの訴訟を退けた。この結果、彼らは百度と広告収入をシェアすることで提携するしかなくなり、中国音楽市場に暗い影が投げかけられた。
そうした中でも、新しい巨大な勢力が着実に台頭している。まず、携帯キャリアの中国移動が、レコード会社が築き上げてきた既存ルートに取って代わり、中国最大のデジタル音楽販売業者の座をつかみつつある。
同社は2007年10月、全曲ダウンロード事業をはじめ、3Gのための布石を打った。一方、中国の大手通信事業社である中国聯通(チャイナユニコム)も同年、同様のダウンロード事業を開始、「10155音楽サイト」を立ち上げている。
さらに中国最大の通信会社である中国電信(チャイナテレコム)の「愛音楽」プラットフォームも2007年11月8日に登場した。こうして、大手通信キャリアがそろって音楽プラットフォーム業務に参入、3G時代を本格的に迎えるための準備を済ませたのであった。
アップルのiTunesの中国進出は、どうやら来年になりそうだ。またノキア、ウォルマートといった大手多国籍企業も、中国でのオンライン音楽市場への参入準備を進めている。こうした動きが加速すれば、結果として中国の音楽市場で多数の有力な音楽販売ルートが提供され、業界内の競争が進み、独占状態があるていど打破されることだろう。デジタル音楽の販売に多数のビジネスモデルが並存すれば、結果として業界全体の繁栄にもつながると考えられる。