Booksベストセラー週間総合ランキング10月31日~11月6日では、前週に引き続き東野圭吾が『聖女の救済』、『ガリレオの苦悩』、『流星の絆』の3タイトルでトップスリーを独占した。トップテンへの新登場は『モニタールーム』(山田悠介)の1タイトルのみ。
10月31日~11月6日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)
順位 | 書籍名(出版社) | 著者 |
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1位 | 聖女の救済(文藝春秋) | 東野圭吾 |
2位 | ガリレオの苦悩 | 東野圭吾 |
3位 | 流星の絆(講談社) | 東野圭吾 |
4位 | O型自分の説明書(文芸社) | Jamais Jamais |
5位 | 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) | 水野敬也 |
6位 | 竹中式マトリクス勉強法(幻冬舎) | 竹中平蔵 |
7位 | 悩む力(集英社) | 姜 尚中 |
8位 | A型 自分の説明書(文芸社) | Jamais Jamais |
9位 | B型 自分の説明書(文芸社) | Jamais Jamais |
10位 | モニタールーム(角川書店発行/角川グループパブリッシング発売) | 山田悠介 |
『聖女の救済』および『ガリレオの苦悩』(東野圭吾)は、 テレビドラマ化され10月には映画としても公開された「探偵ガリレオシリーズ」の新作。天才的な物理学者が一見不可解な事件の真相を科学的に解明するというプロットと謎解きの妙が受け入れられているようだ。一方『流星の絆』は、幼い時に何者かに殺された3兄弟の物語。成長した彼らが両親の仇と思われる人物に遭遇したことから話が大きく展開する。現在TBS系でドラマ化され、同名タイトルで放映中だ。
新登場10位の『モニタールーム』(山田悠介)は、2001年のデビュー作『リアル鬼ごっこ』以来ユニークな着想で極限状態の人間を描いてきた作者による最新作。主人公は「月収100万円」の言葉に引かれ、刑務所地下でのモニター監視の仕事に就く。だがそこに並ぶ無数のモニターに映し出されていたのは、地雷地帯の村に住む少年少女の姿など不可解な光景だった―。
今週の注目
『北海道伊達市モデル この街は、なぜ元気なのか』(かんき出版 / 桐山秀樹 / 税別1,500円)
現在、地方都市のほとんどは財源不足と過疎化に苦しみ、「自治体の取り組みには限界がある」として国の対策に期待をかける。だが政府は地域間格差の是正もしくは改善に成功してはこなかった。人口が減少していく社会にあってますます若者は都市部に集中し、地方は廃れていく一方に見える。
そんな中、地域活性化の数少ない成功例として全国から注目を集めているのが北海道の小都市・伊達市だ。仙台伊達家一門の亘理伊達家領主が明治に入植したことからその名を持つ伊達市は、人口で見ればわずか3万7,000人余りのどこにでもある町だ。だが、過疎化と人口流出に苦しむ地方都市の例に反して5年間で1,000人も移住者受け入れで増やしており、今や北海道移住と言えば伊達市と言われるほどの人気ぶりだ。本書は小さな地方都市に過ぎない伊達市がなぜ活性化したのか、その道筋を詳細なレポートで明かしてくれる。
本著には伊達市とそこに住む人々が行ってきたさまざまな取り組みが紹介されているが、実のところ取り組み自体にはそれほどオリジナリティはない。地方活性化やまちづくりに少しでも取り組んでいる人なら誰もが思い付くものがほとんどだ。だが、伊達市には他の都市と異なる点があった。それは、何かを行う時にベテランは相談役に徹して若い世代に任せるという伝統。取り組みは真似できても、この伝統を真似するのはベテランが自覚しない限り大変難しい。ここに伊達市が元気な理由と他都市が抱える難しさが凝縮されているのかもしれない。