調査会社米Strategy Analytics(SA)が11月7日(現地時間)に発表した報告書によると、米国の2008年第3四半期の携帯電話販売シェアで韓国Samsung Electronicsが米Motorolaを抜いて首位に躍り出た。同四半期のSamsungの市場シェアは22.4%で、Motorolaの21.1%をわずかに上回った。同社が米国市場でトップシェアになるのは初の出来事。
SAによれば、景気停滞ムードが漂う米国での同四半期の携帯電話出荷数は前年同期比6%アップの4700万台。SAディレクターのNeil Mawston氏は「金融危機にも関わらず、米国での2008年第3四半期の携帯電話出荷数は4740万台に達し、前年比で6.2%のアップとなった。携帯キャリアが提供する魅力的なバンドル価格(年次契約と引き替えに行われる端末割引)、豊富な奨励金、ホリデーシーズンを前にしたディストリビュータの在庫確保が出荷台数を引き上げたものと考えられる」と分析する。
また同社シニアアナリストのBonny Joy氏は「Samsungの同四半期のシェアは22.4%に達し、同社初のトップシェアの確保に至った。販売店での露出、米国の主要キャリア4社への魅力的な製品ラインナップの提供が今回の躍進につながった」と分析している。同四半期のシェア順位はトップがSamsung、2位がMotorola、3位がLG、4位がResearch In Motion(RIM)。RIMは2四半期連続でシェア2桁を達成した。
米国はもともとMotorola最大の牙城で、以前まで同社がシェア過半数を占める状況だった。だがRAZRに続くヒット商品に恵まれず、シェアが減少を続け、現在ではピーク時の半分程度の出荷台数にまで落ち込んでいる。この状況挽回に向けて携帯電話事業部門のスピンオフを計画していたものの、景気低迷による情勢の不透明化もあり、2009年第3四半期での分離計画を一時中断している状態だ。一方でSamsungは低価格端末を中心に北米市場へと入り込み、CDMA系キャリアを中心にシェアを拡大、最近ではハイエンドでユニークな高機能端末を多数取りそろえ、GSM系キャリアを含むすべての主要キャリアに製品を供給している。こうした勢いの差がシェア逆転につながった形だ。