ソニー・ミュージックエンタテインメントは5日、高音質化CD「Blu-spec CD」を発表した。同社では、クラシック/ジャズ/ポピュラーなどの旧譜を中心にした、60タイトルを12月24日に発売する予定としている。
Blu-spec CDは、SACDなどとは異なり、規格自体は通常の音楽CDと同じで、一般のCDプレーヤーでも、問題なく再生が可能なディスクだ。では、どの辺りが普通のCDと異なるのかというと、大きなポイントは2点。マスターの高精度化と、頒布メディアの高精度化だ。まずはマスターだが、CDのマスターのカッティングを行う際に、CD用の赤色レーザーによるカッティングではなく、Blu-rayと同様に、ブールーレーザーダイオードを使用。より波長の短いレーザー光を使用することで、同じデータからでも、ムラの少ない精密な加工が可能となった。さらに、高精度加工を実現するために、最適化された光ファイバーの採用、カッティングマシンのファンレス化による振動の排除などが行われている。
頒布メディア側は、使用するディスクに、Blu-ray Disc用に開発された、高分子ポリカーボネードを採用。これにより、ジッターを低減し、よりマスターに近い再生が可能にになるという。
Blu-spec CDのタイトルは、通常の音楽CDよりも、若干、価格が高くなっているが、同社によると、これはメディアのコストや、技術的な面でのコストが含まれるためとのことだ。
なお、同社のグループ企業で、CD制作の受託などを行うソニー・ミュージックコミュニケーションズでは、7月20に、ビクターが開発した高音質CD、「SHM-CD」(スーパーハイマテリアルCD)の製造を行うことを発表している。SHM-CDは、液晶パネル用のポリカーボネード樹脂を使用したCD。しかし、同社(SMEの方)では、高精度なマスター制作を行うBlu-spec CDのほうが、音質面で優位性があるということで、自社で販売するタイトルとしては、こちらの方を採用していくとのことだ。ただし、若干価格が高くなるため、新譜まで含めたすべてのタイトルをBlu-spec CDに移行するかどうかは、市場の動向を見てからの判断になるとのことだ。