こんにゃくゼリーへの政府対応批判
その後再び勝谷氏が、ネットユーザーからの質問を小沢氏に投げかけた。「こんにゃくゼリー問題についてどう思うか」というものだった。
小沢氏は「もちなども喉につまらせる可能性があるわけで、政府には公正な対応をしてもらう必要がある。大臣がことさら言うべき問題ではない。消費者庁をつくると言ってるが、官僚が官僚を監督できるわけはない」と政府の対応を批判した。
話題はここから官僚の問題に。小沢氏は「日本人は基本的に官僚機構を信頼し、お上をたて、公平できれいな行政という淡い期待を抱いてきた。だが、官僚機構はトップにいたるまで腐っているのが現状だ。その原因は、自民党と組んで60年以上も権力を持ってきたからだ」と持論を展開。
「政権をとったら、私の主張を役人にやらせる。自民党政権は官僚と持ちつ持たれつで、政治家が官僚に『ノー』と言えなかった。その結果、現実の権力は官僚が持っている」と政権交代の必要性を訴えた。
「日米同盟と国連中心主義は矛盾せず」
「だけど、民主党もなんだかんだ言って官公労頼みなのでは、という見方もある」と勝谷氏が民主党に話を向けると、「確かにそういうイメージがあり、官公労は民主党の後援会だ。だが、一旦政治家を選んだ以上、操り人形にしては駄目だ。選んだ政治家の見識に基づいてやらせなさい、といったら組合は渋い顔をしていた」と話すと、会場からは大きな笑いが起こった。
続けて、「組合も自分たちの既得権益に固執せず、自らも変わらなければならない。ただ、勤労者の権利を守るという組合の理念は大事」と述べた。
会場では、再び学生が質問。日本の安全保障について尋ねると、小沢氏は「第二次世界大戦の戦勝国が中心の国連の仕組みを変えなくては駄目。その上で、日本国憲法では、自国が攻撃された場合以外の武力による紛争解決は禁じているが、自国が攻撃された場合以外は、国連を中心として解決すべきだ。実は日米安保条約の条文にも、国連の決定があったらそれに従い、日米の協力は国連の決定までのものだと書いてある。従って、日米安保と国連中心主義は矛盾しない」と述べた。
さらに現在の日米同盟については、「現在の日米同盟は本当の同盟ではない。拉致問題に関しても、米国は日本に何も配慮していない。米国が北朝鮮をテロ支援国家指定から解除した際も、日本政府が何も抗議していないし、主人と家来の関係だ。自民党幹事長時代に湾岸戦争が起きたが、米国からイラク攻撃の連絡があったのは、開戦の4時間前。イラク戦争は開戦後に連絡があった。日本はその程度にしか思われてないのが現実で、米国の本当のトップの人たちは日本のことは無視している」と衝撃的な話を披露した。
「年始までに衆院解散ある」と見通し
その上で、「農産物の自由化交渉を米国としたが、さんざんやりあった後お互いの妥協点を見出し、議論が終わったら『お互いいい仕事をしたね』と向こうから言ってきた。日本人は議論をすると感情的になるが、欧米や中国を相手にするときは、言うべきことをきちんと言うべきだ。外国には根回しは通用しない」と自らの経験を基に主張。
焦点となっている衆議院解散については、「麻生首相にとって最大のチャンスは今国会冒頭だったが、もういい加減にしろという感じ。安倍、福田と続いた政権のたらいまわしをやめ、主権者である国民の意思を聞くべきだ。秋以降、年明けまでには解散はある」と衆院解散が近いとの見通しを示した。
「一度やらせてくれ」と訴え
肝心の政権交代の必要性に聞かれると、「今まで自民党を応援してきた人たちも、弱肉強食の世の中にしてしまった自民党に怒っている。結局官僚の延長線上にしかないのが自民党政権」と自民党を批判。
その後、「一度やらせてくれ。俺はやってみせる」と、政権交代後の首相就任に意欲を示した。
生放送終了直前、勝谷氏が「迫力あったね」と学生に語りかけた。小沢氏も「とても面白かった」と満足そうに振り返り、学生の反応に手ごたえを感じた様子だった。
記者とのぶらさがり会見終了後、小沢氏は東洋大学の学園祭に。多くの学生の「小沢コール」の中、もみくちゃにされながら多くの学生と握手した後、車で同大学を後にした。学生からは「握手しちゃったよ~」などの声も上がり、人気ぶりを示した。
小沢氏は10月19日にも、「Ameba(アメーバブログ)」の有名人ブロガーが作る動画番組を公開生放送する「AmebaStudio(アメスタ)」にゲストとして出演。ネット戦略を強化している。
麻生首相の人気が根強いとされるネット世論において、一連の生放送出演によってどれだけ巻き返せたか。ネットにおける小沢氏の"次の一手"が注目される。