Booksベストセラー週間総合ランキング10月24日~10月30日では、『聖女の救済』(東野圭吾)、『ガリレオの苦悩』(東野圭吾)、『楊令伝(7)驍騰の章』(北方謙三)、『竹中式マトリクス勉強法』(竹中平蔵)、『狼花 新宿鮫(9)』(大沢在昌)の5タイトルが新登場でトップテン入りし、入れ替わりの激しい週となった。

10月24日~10月30日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 聖女の救済(文藝春秋) 東野圭吾
2位 ガリレオの苦悩 東野圭吾
3位 流星の絆(講談社) 東野圭吾
4位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
5位 O型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
6位 楊令伝(7)驍騰の章(集英社) 北方謙三
7位 A型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
8位 竹中式マトリクス勉強法(幻冬舎) 竹中平蔵
9位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
10位 狼花 新宿鮫(9)(光文社) 大沢在昌

新登場1位の『聖女の救済』および2位の『ガリレオの苦悩』(東野圭吾)は、 テレビドラマ化され10月には映画としても公開された「探偵ガリレオシリーズ」の新作として同時刊行された。天才的な物理学者の湯川が友人の刑事の依頼を受け、一見不可解な事件の真相を科学的に解明する。『聖女の救済』は長編小説で『ガリレオの苦悩』は短編集だが、どちらもテンポ良く読めると好評。科学トリックを暴く謎解きの場面では一気に霧が晴れたかのような爽快感が味わえる。

新登場6位の『楊令伝(7)驍騰の章』(北方謙三)は、『小説すばる』にて連載中の中国歴史小説。平易な言葉遣いや台詞回しで、取り付きにくい観のある題材を娯楽作品に仕上げている。

8位『竹中式マトリクス勉強法』(竹中平蔵)は、経済学者である著者が自身の実践してきた勉強法を指南するという一冊。誰もが納得するような勉強のコツが列挙されている。

10位『狼花 新宿鮫(9)』(大沢在昌)は、新宿署の孤高の刑事・鮫島警部が活躍する警察小説シリーズの最新刊。外国人犯罪・国際犯罪を軸に登場人物それぞれの思いが交錯する。

今週の注目

地図男 (メディアファクトリー / 真藤順丈 / 税別1,200円)

物語は、3歳の男の子の話から始まる。彼は生まれつき天才的な音楽的才能を持っていたが、家庭環境に恵まれていなかった。彼はある日その環境から逃げ出そうと、配送中の楽器店のトラックの荷台に飛び乗った―。読者はその子のその後が知りたくなるが、この話に完結はない。これは、ある男が地図帳を手に滔々と紡ぎ出す物語。主人公は彼を「地図男」と呼ぶ。

地図男はいつも地図を手にしており、関東一円に出没しているらしいこと以外は正体不明だ。彼の地図帳はたくさんの書き込みと貼られた付箋で混沌としているが、それらはそれぞれその土地にまつわる物語を表している。主人公は地図男に何度か遭遇するうちに、それらの物語を地図男から聞くようになる。それらの物語は土地にまつわる割りには、どことなく現実感がない。地図男とは一体何者なのか、そして誰のためになぜ物語を語り続けるのか。その答えは地図男の語る物語の中に隠されていた。

本作は、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。世界観を受け入れられるかどうかで好みは分かれそうだが、ふんわりした世界を少し離れて眺めてみると、じんわりとおもしろさが伝わってきそうだ。