モバイルリサーチを展開するネットエイジアはこのほど、裁判員制度に関するアンケート調査結果を発表した。98.4%が裁判員制度を認知している一方で、制度に肯定的な人は4割にとどまっている。また、6割以上が「参加意向なし」と答えており、多くの国民がいまもこの制度に"距離感"を感じている現状が浮き彫りになった。調査は10月24日から27日まで、20歳~69歳のモバイルユーザーを対象に実施し、500人の回答を集計した。

「日本で始まる裁判員制度をご存じですか」という質問に「内容まで知っている」と答えたのは52.2%。「内容は知らないが、名前だけ知っている」の46.2%を合わせた認知率は98.4%で、法務省や裁判所などが行ってきた広報活動は一定の成果を得た形だ。

「あなたは、日本で始まる裁判員制度をご存じですか?」の質問に対する回答結果--ネットエイジア調べ

裁判員制度の開始時期について尋ねたところ、「来年の5月」と正しく答えられたのは51.4%。「裁判員の選出方法」については62.4%、「裁判員の資格」については46.1%が「知っている」と答えた。

また、「裁判員制度によって日本の裁判が良い方向に向かうか」の質問に「良い方向に向かう」と答えたのは40.0%で、「悪い方向に向かう」は23.3%だった。「制度の導入により、どの程度裁判がわかりやすくなるか」では「わかりやすくなる」が35.4%だったのに対し「どちらとも言えない」が59.1%、また「制度の導入による司法に対する国民の信頼性向上」についても「向上する」が29.1%だったのに対して「どちらとも言えない」が60%に上った。具体的な"効果"については6割が"様子見"の状況で、裁判員制度への期待感はそれほど高くないといえそうだ。

「裁判員制度によって日本の裁判が良い方向に向かうと思うか」の質問に対する回答結果--ネットエイジア調べ

11月下旬からは、来年の裁判員候補者名簿に載った人への通知が始まる予定だが、国民の参加意思の低さが問題となっている。同調査でも「どの程度裁判員として参加してみたいか」の質問に、「参加意向あり」と答えたのは19.9%のみで、「参加意向なし」が65.2%と否定的意見が多数を占めた。

「仕事や生活の状況を考えた場合、どの程度裁判員として参加してみたいか」の質問に対する回答結果--ネットエイジア調べ

裁判員制度では重い疾病や傷害、同居の親族の介護など、法律で認められた特別な事情がある場合を除き、原則辞退ができない。この調査結果から考えると、多くの裁判員が「仕方なく」裁判に参加していくことになりそうだ。

参加したくない理由は「人を裁けるような人間ではない」「裁くということに恐怖を感じる」「適正な司法判断能力を持っていない」「司法や刑法を知らない人間の意見を、取り入れる方法に疑問」など。「仕事を休むことができない」「介護が必要な家族がいる」といった理由もあった。

「裁判員が何日ぐらいであれば参加可能か」という質問には1日 / 2日 / 3日がそれぞれ20%程度で、平均が3.71日、また「(裁判員の)日当の妥当額」については「10,000~15,000円未満」が41.5%で最も多く、平均は14,557円だった。

「裁判が何日くらいであれば参加可能か」の質問に対する回答結果--ネットエイジア調べ

「1日あたりの日当の妥当金額」の質問に対する回答結果--ネットエイジア調べ