米IBMが同社幹部の米Appleへの移籍を阻止するため訴訟を起こしたと、31日(現地時間)に米国メディア各紙が報じている。同件は裁判所に提出された書類から判明したもので、先週までIBMのブレードサーバ開発部門バイスプレジデントだったMark Papermaster氏がAppleに参加、Appleの半導体部門トップに就任する予定だという。Appleは今年4月に半導体ベンチャーのPA Semiを買収したばかり。Papermaster氏の取り込みで事業のてこ入れを狙ったものとみられる。

訴状によれば、Papermaster氏はIBMのトップマネージャ300人の1人で、同社の知的財産や取引上の秘密にアクセスできる権限を持っていたという。また同社では、同氏が(競合他社への移籍などで生じる)IBMとの非競争契約書にサインしていると述べている。IBMは今回の訴訟でPapermaster氏のライバル社への移籍を阻止するのが狙い。

前述のようにAppleではPA Semi買収をきっかけに、自社でのプロセッサ設計に力を入れ始めている。その目的はAppleから公式には語られていないが、開発した技術をiPhoneやiPodなどの同社製小型デバイス向けの組み込みプロセッサに利用するものとみられている。PA SemiはIBMの開発したPowerPCプロセッサ互換の省電力プロセッサの開発で広く知られている。