PDC2008の3日目のキーノートはリサーチデー。Microsoft Research (MSR)のシニアバイスプレジデントRick Rashid氏が、Surfaceの世界を広げる「SecondLight」、子供たちがゲームを通じてプログラミングを学べる「BOKU」など、MSRの最新取り組みを紹介した。
Surfaceにもセカンダリディスプレイ!?
Surfaceはテーブル内のプロジェクターから画が投影されている。ディスプレイがプロジェクションスクリーンであるため、画面上に紙などをかざしても、ディスプレイに映る画が紙などに投影されることはない。ところがSecondLightでは、画面上にかざした半透明の紙やプラスチック板にSurface上の画とは異なる画が映し出される。例えば、星々のイメージが表示されているSurfaceテーブルに、トレーシングペーパーをかざすと、ペーパー上に星図が表示された。紙片を動かしながら星の名前や星座などを確認できる。
通常のSurface上にトレーシングペーパーを置いても、ぺーパーには何も投影されない |
SecondLightでは、トレーシングペーパーに異なるイメージが投影される。デモでは、Surface上の星のイメージに対応する星図をペーパーに投影 |
SecondLightではディスプレイに特殊な液晶素材が使われている。通常は半透明色をしており、投影されたイメージが映るが、電圧をかけると透明になり、イメージが透過してしまう。この2つの状態を、肉眼では認識できないようなスピードでスイッチングし続けているのだ。これをテーブル内のプロジェクションシステムに同期させ、2つのプロジェクターから異なるイメージを投影する。1つは半透明時にテーブル上に映り、もう1つは透明状態のときにディスプレイを透過する。テーブル上にプロジェクションスクリーンの代わりになる半透明の紙などをかざすと、透過したイメージが映り込むという仕組みだ。
SecondLightの利用例としてはカタログが挙げられた。Surface上に車の外観写真を表示し、トレーシングペーパーをかざすと、その部分のデザイン図や内部が投影されるようにする。
牛の写真にトレーシングペーパーをかざして、「まさか内臓!!」という雰囲気に会場からは「No~~~!」という声が上がったが、ペーパーに投影されたのは牛を説明するテキスト |
SecondLightのプロトタイプ |
Surfaceでは複数の赤外線カメラが、ディスプレイに接触した動きを検出する。SecondLightの場合、透明時に赤外線カメラの信号がSurface上の空間にも到達する。これを利用すれば、テーブル上での手の動きや人の顔などを認識して、Surfaceに反映できる可能性がある。一例として、人が走っている動画をトレーシングペーパーに投影し、トレーシングペーパーの上下に合わせてランニングペースを変化させるデモが披露された。この精度が高まれば、ペーパー上の動きをインタラクションや操作に利用できる。つまりトレーシングペーパーが"ミニSurface"または"セカンダリSurface"になる。
Surfaceとトレーシングペーパーの両方にランニングしている人の動画。トレーシングペーパーを遠ざけるにつれて、ペーパー上の人のランニングペースが遅くなった |
"セカンダリーSurfaceでマルチタッチ"の可能性を示すデモ |
なおMicrosoftはPDC2008で、Surface初のSDK (ソフトウエア開発キット)の限定的なリリースを発表した。ダイレクト・インタラクション、マルチタッチ、マルチユーザー、オブジェクト認識などを用いたアプリケーションを開発できる。