アメリカン・エキスプレス・インターナショナルは28日、同社の法人事業部門がまとめた白書「アメリカン・エキスプレス2009年アジア太平洋地域における法人ホテル料金および市場予測」を発表した。これによると、アジア太平洋地域全体で法人向け客室料金の上昇率は鈍化傾向にあるという。調査実施時期は2008年8月。
同白書によると、東京における法人のホテル平均客室利用率は、2007年に引き続き2008年第一四半期には70%まで減少した。米国経済の悪化と燃油サーチャージの高騰に起因する業務渡航の減少により、今後も法人ホテル需要率は減少する傾向だという。
また法人向け客室料金は、過去数年に渡る外資系高級ホテルの進出や既存ホテルのリニューアルが価格上昇を牽引した結果、2007年の1泊あたりの平均宿泊料金は、過去10年で最高となる2万4,244円(15%増)を記録。ただし、この傾向は2009年3月オープン予定の「シャングリ・ラ東京」を最後に収束が見込まれるとしており、2009年の東京の法人向け客室料金の値上げ率はアジア太平洋地域で最低の1.3%になるとしている。
一方、ホテル客室供給率は良好。しかし、2009年以降に東京で新規開業を予定している高級ホテルは、前出の「シャングリ・ラ東京」のみのため、ほかの国際都市と比べて高級ホテルの数が少ない東京では、法人顧客の多様なニーズに応えるために、2009年以降の新規ホテルの開発が必要であるとされている。
現在アジア太平洋地域のホテル業界は、世界規模の経済不安により不安定な環境であるほか、今後、都市やホテルによってはその影響が顕著に表れることが予測されるという。また、過去2年間に渡り2桁成長を遂げてきた法人料金の上昇率が、今後12カ月間で鈍化することが予想されるとともに、企業とホテルの交渉の活発化が見込まれるとのこと。
このような状況は、企業の担当者にとって客室料金交渉の際に有利になる一方、比較的経済が好調な市場(インド:デリー・ムンバイ・バンガロール、シンガポール、マニラ、香港)においては、引き続きホテル料金の交渉の難航が予測されるという。同社コンサルティング・アジア太平洋地域統括部長のプラシャント・アガワル氏は、企業の業務渡航担当者や購買担当者に対し、「限られた業務渡航関連予算を最大限に活用して可能な限り有利な条件を引き出すことは、今までになく重要になる」と呼びかけている。