多様化するソーシャルサービス

MySpaceの登場により確立されたSNSというカテゴリだが、ここにきてサービスは多様化しつつある。sMeetは、アバターを利用したソーシャルサービスを提供しており、ユーザーは仮想世界の中でボイスチャットによるコミュニケーションができる。主として若者向けで、sMeetの中でセレブやスターが生まれたり、出会い、さらには結婚式も開かれたという。「"ソーシャルネットワークをエンパワーする"がテーマ。ソーシャル活動は現実世界で行われる。単なるメッセージのやりとりにとどまらず、(音声チャットなど)リアル要素を取り入れた」とBonello氏は特徴を説明する。

sevenloadは、米YouTubeに対抗する動画投稿サイトといわれているが、CEOのAlex Schmiegelow氏は「ソーシャルメディアネットワーク」と自分たちのサービスを表現する。sevenloadはビデオストリーミングにソーシャル要素を加えたサービスだが、「(ビデオを含む)メディアは単に見るだけでなく、その周囲でインタラクションが起こる」とSchmiegelow氏。sevenloadは、「YouTubeのようにビデオコンテンツを提供するだけでなく、チャンネルとオーディエンスという2つのロジックを提供する」と説明する。同社はオープン性も重視しており、APIも公開、コンテンツ提供側はビジネスモデルも選択できるという。

収益モデルも多様だ。sMeetは現在、ユーザーの通信サービス利用からの売上げ(VoIPか電話)、アバターのカスタマイズなどで収益を得ている。その中で行われるコンサートやショウも収益源という。Bonello氏によると、現在、広告モデルにはフォーカスしていないとのことだ。

一方、sevenloadは広告に大きくフォーカスしているという。そして、オンライン広告でよく用いられる指標であるCPM(Cost Per Mille: 掲載1,000回あたりの料金)については、EコマースによるコミッションビジネスがあればCPMべースである必要はない、と述べる。sevenloadではビデオ広告、ターゲットソーシャル広告など幅広い広告製品を持ち、さまざまなメディアフォーマットに対応しているという。

このところの景気動向の影響をSNSも受けるのだろうか? sMeetのBonello氏は、200人がバーチャルフェア(展示会)で、参加者が旅行コストを削減した例を挙げる。sevenloadのSchmiegelow氏も、不況期こそターゲット広告が注目されると述べる。

Facebook対OpenSocial - SNSは統合される?

現在、SNSは大手のFacebook対OpenSocial陣営に分かれているが、これに対しては、ロックインを危惧しながらも、「圧倒的シェアがあれば、オープンにしたくないのは当然だろう」とSchmiegelow氏。そして、Facebookのプラットフォーム公開は、SNSに新しい価値をもたらした、と功績を認める。「Googleは、Facebookがあったからオープンにした。SNSを1歩進めた」とGoogleを評価する。

sMeetのBonello氏は、OpenSocialはシェアを増やすだろうが、1つの標準ではなく、複数の標準が乱立するだろうと見ている。

では、SNS市場は今後どうなるのか? サービス事業者は統合されていくのだろうか? 「(OSを独占した)Microsoftはほぼ全員にアピールしたが、SNSはそれぞれ違うユーザー層をターゲットにしている。ユーザーは複数のSNSを使い分けるのではないか」とBonello氏。GoogleのChan氏も同意し、「ローカル市場、ニッチな市場に対応するSNSがたくさん存在するだろう。必要なのは、すべてのオプション向けの容易な開発ツールだ」と述べた。

SNSの相互運用性については、sMeetのBonello氏が、「インタフェースにOpenSocialを使っているが、完全にオープンではないSNSもある」と新しい課題を示した。