Planned Happenstance Theory(計画された偶発性理論)
では、キャリアデザインという概念が通用しないことがわかった今、どのような考え方に基づいてキャリアを積んでいくべきなのか――こうした問題に対する荒井氏の答えが、「Planned Happenstance Theory(計画された偶発性理論)」だ。
Planned Happenstance Theoryは、米スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授が提唱する理論である。クランボルツ氏は、一般に成功を収めたとされるビジネスパーソンにアンケートを実施。その結果、「デザインどおりにキャリアを進められた」と答えた人は皆無だったという。そこで、成功要因は何だったのかと分析すると、口々に「自分はラッキー」だったと言っていることがわかり、「人との出会いなど、偶発的な要素によりキャリアは大きく動く」という結論に達した。であれば、偶発的な要素を力に変えるための行動をとるべきというのが、クランボルツ氏の理論だ。
「思い通りになることはほとんどない世の中なのに、キャリアデザインという呪縛にとらわれ、自分の身をがんじがらめにしても仕方がない。良い偶然を引き寄せるための態度、考え方を身につけておくべき」(荒井氏)
キャリア インキュベーションでは、こうした考え方に基づき、同社アドバイザーの慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科准教授 小杉俊哉氏の指導の下、良い偶然を引き寄せるための具体策を教示している。11月8日開催される『キャリアチェンジ特別セミナー』でもその具体策がいくつか披露される予定だ。