村田和子氏

ソニー銀行は27日、トラベルナレッジ代表で旅行ジャーナリストの村田和子氏を招き、「安全・便利・お得に海外旅行と為替の関係」と題した講演を行った。

まず始めに村田氏は「海外に行く際、どんな手段でどれくらいお金を持っていくか考える場合、旅行者として気をつけるべきポイントとして(1)安全面~万一の紛失・盗難などに備えた対応(2)利便性~調達に関わる手間、利用のしやすさ(3)お得に~出来るだけいいレートで現地通貨へ-が挙げられる」と指摘。

推奨パターン例としては、クレジットカードと小額の現金だが、現金の額が多い場合はトラベラーズチェック(TC)を持った方がよいとした。クレジットカードは(1)安全性が高く、換算レートが比較的よい(2)利用可能店舗が増え、小額決済も可能となり、利便性が向上(3)海外では信用の証になる-といったメリットがある一方、従来は為替の決済タイミングが選べなかったという。「利用者は、利用時のレートをもとに円換算の額を予測して購入し、カードの利用明細で初めて確定金額を知る。そのため、利用時と実際の決済時で、為替レートが異なるために、円換算の額に誤差が生じることになる。昨今のように為替の変動が激しいと、自分で為替レートがコントロールできないリスクは無視できないものとなっている」(村田氏)。

こうしたリスクを回避することができるのが、外貨のクレジットカードと村田氏。「利用時には、円換算の確定金額が分かるので、誤差が生じずリスク回避できる。さらに、高い金利で運用、旅行時に外貨預金預け入れ時に円安であれば実質的に為替差益分がお得になることもある」。

またフォートラベルが調査した「2008年夏の旅行動向調査」によると、個人手配旅行が全体の58%を占めたほか、直近1年間の海外旅行回数は平均1.9回で、年4回以上は12.7%に上ったと村田氏は報告。「個人手配旅行では宿泊や交通の予約で、国内でも米ドル決済をすることもあるので、予約時から威力を発揮する。たとえば、ホテル予約の場合、ドル建てで安価なプランを提供することも多く、より安いホテルを選ぶことが可能。また、外貨クレジットカードであれば、利用時に正確な円換算ができ、円建てサービスと価格比較も用意。多くの選択肢からよりお得なサービスを選択して、旅行計画をたてることができる」。

また、年1回ではなく数回行くリピーターにとって、外貨クレジットーカードはお得とのこと。たとえば預け入れ時より円安の場合なら、外貨クレジットカードを使えば差益分がお得に、一方預け入れ時より円高なら、為替差損が生じる可能性もあり、従来のクレジットカード(円)で決済するという選択肢もある。旅行時の為替に応じて利用するクレジットカードの選択もできる。

最後に村田氏は「海外渡航回数が多く、個人手配が多い旅の上級者には親和性の高いサービスであり、現状は運用した外貨を利用する手段だが、今後海外旅行での利用を目的に、円高の際に外貨預金へという運用の流れも期待される」とまとめた。