--サービスが実現するのはいつ頃になると予想していますか?
その前に課題がたくさんあります。お話したような技術的課題のほか、フロアマップなどの地図情報をコミュニティから集めなければなりません。このためには、ユーザーに興味をもってもらうようにアピールする必要があります。これはマーケティングの問題です。
このようなことから、現時点では、パイロットや商用サービスの時期を予想することは難しいです。
--屋内位置情報ではどのようなビジネスが想定されますか?
まずは、現在GPSなど屋外の位置情報をベースとしたビジネスは、屋内でもそのまま適用できると思います。位置情報をベースとした広告やマーケティング、ナビゲーションなどです。
屋内特有のサービスとして、たとえば旅行中、到着した駅で何がどこにあるのかをすぐに知ることができます。オフィスでは、簡単に同僚を見つけられます。ショッピングモールでは、家族や友人が安心して別行動できるでしょう。
新しいアイディアとしては、仮想の落書きがあります。特定の場所を訪れたらそこに自分の足跡を残すというもので、次に誰かがそこを訪れたとき、前に友人が来た場所だとわかります。友達同士でこれをシェアできます。
携帯電話における位置情報では、最初にGPSが登場しましたが、人は平均して80%の時間を屋内で過ごしているといわれています。携帯電話の利用も屋内が屋外を上回っています。屋内の位置情報の可能性はさまざまだと思います。
--Nokiaの収益モデルは?
現時点では、広告、端末の一部などが考えられます。サービスが魅力的であれば、そのものを有料で提供できるかもしれません。
--GPSと連携してシームレスなサービスを実現するような計画はありますか?
屋内と屋外の位置情報のシームレスな連携は大きな目標です。
ユーザー側は1つのアプリケーションで、そのアプリケーションが状況に応じて技術を使うというイメージです。屋外ではGPS、屋内では無線LANで、無線LANが利用できない場合はセルラーIDなどの他の無線技術、と連携できればベストです。
--現在のGPSでも、携帯電話で使いこなすのは難しいという声があります。
ユーザーインタフェースは課題です。GPSは、カーナビでは成熟してきたと思いますが、それ以外ではまだ開発途上の段階です。使いやすさ、人間にやさしいナビゲーション、マーケティングなどはまだまだこれからだと思います。