第21回東京国際映画祭の特別招待作品として上映されたカナダ=ブラジル=日本合作の「ブラインドネス」の記者会見が20日に行われた。   この作品は、ノーベル賞作家のジョゼ・サラマーゴの「白の闇」(NHK出版)を、アカデミー賞で4部門にノミネートされた『シティ・オブ・ゴッド』と、レイチェル・ワイズがアカデミー賞助演女優賞を受賞した『ナイロビの蜂』のフェルナンド・メイレレス監督が映画化。 伝染病の蔓延により全世界が盲目化してパニックに陥るという、国境を越えて最高のキャストが集結した衝撃の心理パニック・サスペンス。   最初に失明する男に、伊勢谷友介。その妻に木村佳乃。主演のジュリアン・ムーア演じる医者の妻だけが、何故か目の見える役。そして製作総指揮は、東京国際映画祭チェアマンの依田巽。

記者会見に登壇したゲストたち。左から木村佳乃、ジュアリアン・ムーア、伊勢谷友介、フェルナンド・メイレレス監督

    撮影の前に盲目の人と演じる人達は特別な演技のトレーニングをしたという。最初はエキストラだけだったのだが、監督も経験してみて参考になったので、役者にも体験して貰ったそう。これに木村は、「暗闇で足や顔を打って恐怖で歩けなくて、最初はしゃがみ込んでしまいました。私は盲目になり少し鬱になってしまう役なので、このトレーニングがとても役立ちました」と語り、伊勢谷は「鈴の音を頼りに歩いた時、思わず隣にいた人を掴んでしまった。この隣に人がいるという安心感が、映画のテーマだった」と振り返った。  

今回が初来日にとなったムーアは、日本での歓迎ぶりに興奮していた

「女性としても女優としても、素晴らしい作品に出会えたので、みなさんにも楽しんでもらいたい」と木村

今年は日本人がブラジルに移民して100周年だそうで、当時に殆んどの日本人が住んでいたのが、フェルナンド監督の住んでいる街のサンパウロだったそう。「そのために国自体が、日本の影響を大きく受けている。ブラジルで食べているフルーツは日本人が持ってきたもので、スシはブラジル料理といっていいのではと思います。だからなのか、日本に来ると故郷に帰ってきた気がしますね」と強調していた。  

とても大切なテーマを持った作品なので、早く観客の感想が聞きたいそう

ノーベル賞を受賞した作家の映画化に、自分には大きすぎる原作を選んだんじゃないかと契約書にサインした時に、後悔したほどプレッシャーを感じたそう

木村と伊勢谷の印象を聞かれたジュリアンは、「2人はモデルのように美しいだけでなく、才能もあり素晴らしい俳優です。初日の撮影は、隔離された部屋の中でした。伊勢谷さんは喧嘩のシーンと、そして妻との再会という感情的な難しいシーンを初日から演じなければいけなかった。そして、会ったばかりでお互いがまだ知らなかったのに、その場にいた全員がその演技に泣き崩れました。共演でき、知り合えて本当に光栄に思っています」と大絶賛。   それに付け加えて脚本のドン・マッケラーも「2人には、お礼が言いたい。僕は日本語が分からないので、日本語のセリフは2人に手伝ってもらいました。そんな、プロ意識にとても感心しました。脚本家としてもクレジットするべきでしたね」と称えた。ドン・マッケラーは、失明した伊勢谷友介から車を盗む泥棒役も演じ、その存在感を発揮している。

『ブラインドネス』は、11月22日より丸の内プラゼール他全国ロードショー。

撮影:福住佐知子