日本AMDが10月18日、東京・秋葉原でユーザーイベント「AMD 秋の大収穫祭」を開催した。同社および各パートナーから最新製品に関する各種プレゼンが実施されたほか、45nm世代プロセッサを含むAMD製品ロードマップのアップデートが公開されている。

多くの来場者で賑わった「AMD 秋の大収穫祭」。会場内も超満員だ

今回も日本AMDの"兄貴"と"紳士"が大活躍

会場内には最新のマザーボードやグラフィックスカードをズラリ展示。来場者は各メーカーの担当者から詳細解説を聞くこともできた

高性能グラフィックスカードで「RACE DRIVER GRID」(PC版)をプレイできる体験コーナーも。3Dレースゲームで最上位クラスの美麗映像が注目の的に

MSIのブースでは「DKA790GX Platinum」をプッシュしていた。「世界初」のDrMOS搭載とあるが、そもそもDrMOSはMSIのみなのだから当然では……というツッコミは無しなのだっ!

日本AMD/各パートナーが製品アピール

まずは日本AMDがRadeon 4000シリーズの最新ラインナップを紹介。少々わかりにくいミドル~ローエンドクラスの機能比較も説明された

同じく日本AMDのセッションから、今度は最新のAMD 790GXチップセットを紹介。柔軟にステップアップできる点も大きな特徴だという

今回は、そのAMD 790GGXでも採用されているサウスブリッジ、SB750の「ACC(Advanced Clock Calobration)」機能をクローズアップ

日本AMDの森本竜英氏によれば、SB750のACCの効果として、通常の環境で約3GHzまでのオーバークロックが限界だったPhenomが、ACC利用で3.352GHzまで引っぱれたという例も確認できたとのこと

ASUSTeK広報担当の岩崎晋也氏による「M3A78-T」の解説。いつも豊富なラインナップの同社だが、AMD 790GX搭載マザーボードは現在この1枚のみの投入。これは一球入魂の1枚だからだそうで、そのため隙の無い仕様に仕上がっているとのこと

近年は他社との差別化が難しくなっているグラフィックスカードだが、ASUSTeKならではの機能を紹介。特に高画質化機能のSplendidは「ニコニコ動画でも効果がある」(岩崎氏)とか

秋葉原名物(?)、エムエスアイコンピュータジャパンの石岡宣慶氏は、額にAMDのHDロゴを貼って気合も充分。AMD 790GX搭載マザーボードは3モデルをラインナップする。ちなみに、型番の先頭に「DKA」など"D"が付くモデルがDrMOS搭載モデルだ

そのDrMOSについて、省電力や安定性の実現も特徴だが、今回は特にパフォーマンス面を強調するプレゼンが行われた。内部抵抗が極めて少なく、回路反応速度が高速なため、オーバークロックにも有利とのこと。OCジャンパやOC関連のBIOSメニューの充実ともあわせて、パフォーマンス志向のユーザーにもメリットが大きいと紹介する

CEATECでも話題となったGPGPUデモ

CEATEC JAPAN 2008でも注目を集めたというGPGPUのデモンストレーション。まずはアークソフトのアップスケーリングエンジン「SimHD」が紹介された。会場では実際にSD(DVD)ソースをHD画質にアップスケーリングする様子を披露。SimHDのGPGPUでの処理方法の概要などの解説も行われた。

CEATECの人気デモを秋葉原で再現。アークソフトのアップスケーリングエンジン「SimHD」

実際に動作させているところ。左半分が処理前のSDで、右半分が処理後のHD。写真だとわかりにくいが、かなり高精細になっている

まだ開発中だが、リリース時期は2008年のQ4とされる

GPUで処理しているのはオレンジ色になっている部分

そしてLoiLoの「Super LoiLoScope」。詳細はこちらの製品リリース記事をご覧いただきたいが、グラフィカルで直感的なインタフェースが特徴的な動画編集ソフトだ。なお、エンコードはCPU処理で、エフェクトなどがGPU処理なのだそうだが、年内にはGPUエンコードのテスト版を出したいとしており、無償アップデートでエンコード部分をGPU処理にする計画もあるとのこと。

従来の動画編集ソフトとは一線を画す直感的なインタフェースも特徴。とにかく操作がわかりやすい動画編集ソフトを目指したのだそうだ

Super LoiLoScopeでは、アスクから同ソフトをバンドルしたSAPPHIRE製Radeon HD 4850も発表された。別々に買うよりは断然お得なオススメ製品! とのこと

最後はお待ちかねのロードマップ

イベントの最後は、当日最大の話題と言っても過言ではないロードマップ・アップデートだ。担当したのは日本AMDの"兄貴"こと土居憲太郎氏。まず今年のQ4の予定として、45W TDPのプロセッサ製品のラインナップ拡充、GeForce 9600 GT対抗のRadeon GPU、Phenomのデュアルコア版であるKUMA(開発コードネーム)の3点が公開された。

「KUMA」がようやく登場しそう

ところでKUMAについて、土居氏から、「あくまでデュアルコアなので、トリプルコアのPhenom X3の方が速い。性能重視ならX3を」との紹介があった。コア数も性能だし、実際に発表されてみないと何とも言えないが、例えば、X4やX3よりコア数が少ない分、動作クロックに付加価値……というような期待は、肩透かしとなる可能性もあるのかもしれない。

45nm世代のロードマップ。現在の予定では年内投入

そして2008年末から2009年にかけては、いよいよ45nmプロセス世代のプロセッサが登場してくる。同世代で公開された開発コードネームは4種類で、クアッドコアで6MBのL3キャッシュを備える「Deneb」、そのトリプルコア版である「Heka」、クアッドコアでL3キャッシュ無しの「Propus」、そのトリプルコア版である「Rana」が予定されている。

"おまけ"として、「AMD Fusion for Gamingユーティリティ」関連のプレゼン。土居氏は会社のマシンで実際にこれを使っているそうで、効果があるから是非試してみて、と紹介していた