米Appleが米国時間の14日にカリフォルニア州クパチーノの本社でノートブック製品の発表イベントを開催した。既報の通り、1枚のアルミ板から削り出された"高精度アルミニウム・ユニボディ"を持つ新しい「MacBook Pro」と「MacBook」を発表し、また「MacBook Air」「MacBook Pro 17インチモデル」をアップデートした。Steve Jobs氏の基調講演の様子は後ほどお伝えするとして、まずは展示スペースで触ってみた新MacBook Proと新MacBookの第一印象をお届けする。
"高精度"アルミニウム・ユニボディ
1枚のアルミ板から本体を削り出すことで、一体型のシンプルな構造が可能になり、パーツ数の削減によって軽量ながら頑丈なパソコンに仕上げられる。ただし、これまでパーツのつなぎ目で調整できていたゆとりがなくなるため、ミクロン単位の精密な製造技術が必要になる。だから"高精度"アルミニウム・ユニボディだ。展示スペースのAppleのスタッフは、巧みに削り出されたユニボディについて「ユーザーが目にする表面に負けないぐらい内側も美しい」とアピールしていた。重量の数値は教えてくれなかったが、ユニボディは非常に軽く、ひねっても全く歪まない頑丈さを備えていた。
アルミニウム・ユニボディの採用によって、MacBook ProとMacBookから表面の継ぎ目や側面のネジがなくなった。ディスプレイも、iMacと同じように黒縁のあるガラスで覆われた継ぎ目のないデザインだ。また新しいトラックパッドは全体がボタンも兼ねており、見た目にはボタンがなくなった。いずれも細かな変化だが、全体的に見ると、MacBook Pro、MacBookともに格段にシンプルになった印象を受ける。特にMacBookは、アルミニウム・ユニボディの採用によって、これまでにない洗練されたたたずまいを備える。
MacBook ProとMacBookは基本デザインが統一され、ちょっと見ただけではどちらか判別できないほど似ている。キーボードの両サイドのスピーカー、またはディスプレイ下部分に印刷された製品名を確認しないと分からないほどだ。
左が「MacBook」、右が「MacBook Pro」。基本デザインが統一され、そのため画面サイズの違う同じ製品に見えてしまう……。ディスプレイ、本体ともに、表面に継ぎ目やネジのないシンプルで洗練されたデザイン |
どちらも底面部分にあるレバーを引いて、底板の一部を外すだけで、バッテリとストレージドライブにアクセスできる。特にプロユーザーが多いMacBook Proでは、HDDまたはSSDを簡単に交換できる設計は歓迎されそうだ。
新トラックパッド
新しいトラックパッドは、全体がクリックボタンになっており、押し込むとクリックされる。またマルチタッチジェスチャーをサポートし、1本指から4本指までを使った操作が可能。3本指では指先で画像を回転させたり、スワイプして画像ライブラリの中身を表示できる。4本指はExposeやアプリケーションの切り替えに割り当てられている。タップやドラッグ、ダブルクリックの位置などはユーザーが任意で設定できるが、3本指と4本指のジェスチャーによる操作は変更できない。デフォルトのままでも便利だが、もう少し柔軟性がほしいように思えた。
このマルチタッチトラックパッドはエッチング加工されたガラスで作られており、触れるとなめらかな感触だ。パッド面積が広く、個人的には設定でタップを有効にする方がトラックパッド全体を押し込むよりも便利に思えた。展示スペースのスタッフの説明だと、タイピング中に無意識にタップされるのを嫌がるユーザーも多いので2つの選択肢が欠かせないそうだ。
強化されたグラフィックス機能
グラフィックス強化も大きな特徴の1つ。NVIDIAがデスクトップ製品向けに打診してきた技術を、パフォーマンスはそのままにノートブック製品の消費電力バジェットの中に収めて搭載したという。MacBookはチップセット統合型の「NVIDIA GeForce 9400M」を搭載。ゲームプレイにおいて5倍の高速化を実現した。実際に「Call of Duty」がさくさくと動作した。一方、MacBook Proは統合型のGeForce 9400Mとディスクリートな「GeForce 9600M GT」を搭載しており、用途に応じて選択できる。切り替えは、環境設定のEnergy Saver (省エネルギー)で「Better battery life(バッテリー駆動時間優先)」または「Higher Performance(パフォーマンス優先)」を選んでログインし直す。