グリーン化に重要な運用管理

グリーン化に対するIT機器の運用管理は、今後の消費電力低減にむけた鍵の1つになる可能性が高い。そのため、米国では、運用管理などに対して国などによる補助政策が実施されている。例えば、ジョージア州では、2006年にテレワークの導入を促進するための優遇税制を州法(06 HB194)として定めたほか、Pacific Gas and Electric(PG&E)は、仮想化によって物理サーバの使用台数を減らした企業に電力料金を払い戻すといったデータセンターの省電力化を促進するインセンティブプログラムを複数実施している。

では、日本ではどうなのかというと、まだまだそうした面での対応は立ち遅れているのが現状であり、「もう一歩踏み込んだ対策を、皆で考える必要がある」(同)という。

個人でもできるグリーンIT

インテルは、データセンターのエネルギー効率改善に取り組むIT業界の非営利団体「The Green Grid」に参加しているほか、環境保全プログラム「Climate Savers Computing Initiative(CSCI)」をGoogleと共同で設立するなど、グリーンITの推進に向け1企業としての枠を超えた取り組みを行っている。

The Green GridのWebサイト

CSCIのWebサイト

グリーンITというと、とかく企業が行う取り組みと取られがちだが、実はCSCIは個人でも入ることができる。CSCIは日本では2007年7月にキックオフとなり、今までさまざまな体制を整える段階にあった。現在では、「そうした体制も整い、今後はエンドユーザーへの運用管理の啓蒙なども視野に入れた取り組みを行っていきたい」(同)という。

では、実際に個人ではグリーン化に向けてどのような取り組みができるのであろうか。村田氏は、大きく分けて2つの取り組みができるという。1つ目はPCの買い替える場合に気をつけることで、「最先端のものを買うとエコロジーにつながる」(同)という。

先述したプラットフォームごとの消費電力の違いでも分かるように、先端のプロセッサ(インテルの場合はCore 2 Duo)を選んだ方が消費電力が低く抑えられるというわけだが、ライフサイクル的に考えた場合、安価なCeleron搭載PCと比べても、「アプリケーションの処理時間などを比べるとかなり違うので、その分PCを稼働させる時間が短くて済む。最終的にはCore 2 Duoの方が有利になる」(同)という。

もう1つは、細かな電源管理を行うことである。これは、何も専用の管理ソフトを導入するとかではなく、Windowsに始めから搭載されている「電源オプションのプロパティ」を有効に活用すること。例えば、15分放置されたらモニタの電源を切り、1時間放置されたらスタンバイモードに入るような設定をするだけでも、常時稼働させている場合に比べ、かなり消費電力を削減できるはずである。

大手ITメーカーは問題意識を持っている

CSCIやThe Green Gridなどの参加企業を見ても、大手のITメーカーは問題意識を持ち、何を行ったら良いかを理解している。しかし、「中小企業クラスになると、具体的に何をして良いのかが分からないのが実情なのではないか」(同)であり、ましてコストばかりかかって利益に跳ね返ってこないような取り組みが実施されることは望むべくもない。

そういったところに対しては、「各種団体を通じて色々な施策を打ち出せて行ければ」(同)とするほか、業界としての取り組みとは別として、政府の後押しなども非常に重要になってくる、としている。