Booksベストセラー週間総合ランキング10月3日~10月9日では、『もう一軒おつまみ横丁』(瀬尾幸子)が新登場でトップテン入りした。単行本フィクション部門のベストテンランキングは新登場で4タイトルが10位以内に入るなど変動が激しくなっている。

10月3日~10月9日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
2位 O型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
3位 A型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
4位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
5位 理系の人々(中経出版) よしたに
6位 徳間アニメ絵本 崖の上のポニョ(徳間書店) 宮崎駿
7位 うちの3姉妹(8)(主婦の友社) 松本ぷりっつ
8位 AB型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
9位 もう一軒おつまみ横丁(池田書店) 瀬尾幸子
10位 流星の絆(講談社) 東野圭吾

『もう一軒おつまみ横丁』(瀬尾幸子)は、普段台所や冷蔵庫にあるものを少しの手間で気の利いたおつまみにしてしまおうというレシピ集『おつまみ横丁』の第2弾。普段料理をしない人や男性でも簡単にできそうなおつまみが満載で、すぐに実践したくなる料理本として人気を集めている。

単行本フィクション部門に新登場でランク入りしたのは、『ひぐらしのなく頃に解 第三話~皆殺し編~(下)』(竜騎士07)、『犯罪小説家』(雫井脩介)、『LOVE at Night(3)』(有也)、『消失(4)』(高杉良)の4タイトル。

『消失(4)』(高杉良)は、その時々の時代背景を踏まえて金融業界の内情を描き出してきた「金融腐蝕列島」シリーズの完結編。現実の銀行合併やそれに伴う出来事をモデルに、合併銀行に次々と襲い掛かる難局と、その荒波にもまれながら立ち向かう銀行マンの姿を描く。

今週の注目『桃太郎はニートだった!』(講談社/石井正己/税別800円)

"名作"と言われる絵本が多く世に出回り、さらに作家によって子ども向けのお話が次々と世に送り出されていく中にあって、「昔話とは何か」に注目した一冊。こうした"名作"や新作のお話に比べて、昔話は現代の子どもたちにとってはある意味物足りないものかもしれない。また、昔話の中には結末が腑に落ちなかったり何を教訓としたいのかいまひとつ不明なものも少なくない。著者はそんな日本の昔話の中から代表的な9作を選び、それぞれの話のもともとの姿に迫る。

最近の昔話の絵本がソフトな内容になっているという認識は多くの方が持っているかもしれないが、では我々が子どもの頃に聞いた話が昔話として正しいのかというと、そうでもないようだ。古い時代から口伝えで知られてきた昔話は江戸時代に「赤本」と呼ばれた絵本の形でまとめられたが、その際に様々な変化が付けられているという。つまり、現代知られる昔話は江戸時代の人々の好みや考え方を反映しているのだ。

そうした当時の人々の考え方のひとつが、「怠け者はいつかすごいことをやるかもしれない」というもの。本著のタイトルにある通り、江戸時代の桃太郎は鬼退治に出かけるまでは面倒くさがって何もやらない"ニート"だったという。ニート時代と鬼退治の華々しい功績を対比させることで、当時の人々は怠け者にも隠された力があるのだと温かい視線を送っていたのかもしれない。昔話から現代との共通点と相違点をそれぞれ知ることができる興味深い一冊だ。