お金を借りたい人(ボロワー)とお金を貸したい人(レンダー)をつなぐ電子市場「ソーシャルレンディングサービス」の日本版「maneo(マネオ)」が、10月よりスタートします。同サービスを利用するにあたり、どんな点に注意すればいいのでしょうか。また、お金を貸したい人にとっては新たな運用の手段ともなりますが、お金が戻ってこない場合はどうなるのでしょうか、前回に引き続き、maneoの妹尾賢俊社長に聞いてみました。

少額・分散投資が基本

――お金を貸す人、借りる人はどんな点に注意すればいいですか。

maneoの妹尾賢俊社長

お金を借りる場合、弊社のサイト上においては匿名ですが、個人情報(源泉徴収票など収入を証明するもの、保険証のコピー、銀行の預金口座など)はもちろん全部いただきますし、それを裏付けるために信用情報機関の審査も取ります。しかし、これら個人情報は弊社でのみとどまるもので、お金を貸したい側から見ることはできません。

お金を借りたい人は、お金を貸したいという人のために、サイト上でお金を借りる目的や今の経済状況など簡単なプロフィールを開示すること以外に、これら信用情報の補完として、あらかじめソーシャルネットサービス(SNS)に書き込みをするなど活動の履歴を残すことをお薦めします。

一方、お金を貸す人は匿名とはいえ様々な情報が開示されていますので、まずはそれをチェックすること、またその人がSNSで活動しているようであればその活動の履歴などもトレースしていただいた上で判断をすることが大切です。

加えて、お金を貸すこということは運用にもつながりますので、あくまでも1万円といった少額で、かつ分散投資をお願いしております。間違っても老後の生活資金など使う目的が決まっているお金や、弊社で運用するために他から高い金利で借りてくるということなどはやめてください。余裕のあるお金でやっていただくのが鉄則だと思います。

銀行の預金より高い利回り

――銀行の預金よりは高い利回りが得られそうですね。

たとえば、5%で貸すことができた場合、数字的に高いイメージがあると思いますが、その裏返しとしてお金を借りる人が返せなくなった場合、お金を貸す人にリスクが転嫁されますので注意が必要です。

ただ、一方で今まで銀行に預金してもそのお金がどういった形で使われているのかわからなかったと思いますが、このソーシャルレンディングサービスであれば、自分の目で見て選んだ人に対してお金を貸すことができるので、わかりやすいダイレクトな金融商品だと思います。そういうものに対するニーズは高まっていくのではないかと思います。

――もしお金が戻ってこない場合はどうしたらいいですか。

原則的にお金を借りた人が返せなくなったときは、残額については残念ながらあきらめていただくしかありません。しかし、我々の方でもそういったことがないように、お金を借りる人には事前にいろいろな対応をさせていただきます。

お金を借りる場合には資格用件があり、年収で300万円以上かつ外部の信用情報機関から情報をとり、過去の破産歴の有無、消費者金融機関からの借入額など様々な情報を収集した上で、お金を借りていただく上限額を我々で設定します。

そういう意味ではお金を借りられる時点では少なくともご返済が可能な水準でお金を借り入れしていただくことは可能だと思います。実際、ご返済の期日が近づいたときには、我々の方からお金を借りている人に対して「もうすぐ返済の期日が来ます」、「金額はいくらでいつまでに払ってください」とお知らせをさせていただきます。返済が遅れている場合は、月に2回ほどeメールも出しますし、郵便物での督促もさせていただきますから、返していただく意思のある人であれば返していただくことはできるでしょう。ちなみに、延滞が発生した場合、14.5%の金利が自動的に加算されます。

でも、本当に返す意思がないという人、90日たっても返済がないという人は返済の意思がないものと見なして、債権を「サービサー」という債権の回収業務を営む専用の会社に売却をし、それで得られたお金を貸した人に分配する形になっています。しかし実際は、損失として被ってしまう可能性が高いでしょう。その点をきちっと踏まえた上で少額での分散投資をお願いしたいと思います。

プロフィールやSNSの履歴、また質問もできますので、そういった機能を使っていただいて、借り入れの目的がきちっと納得できるものかどうか判断するということですね。

――御社の手数料はいくらですか。

手数料は、ローンが制約したタイミングで契約額の1.5%と返済が行われるたびに金利として1.5%いただきます。

――今後の目標を教えてください。

我々としては2011年3月末に貸付残高として300億円を目標に頑張っていくつもりです。

――ありがとうございました。

(インタビュー撮影 : 中村浩二)