千葉・幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2008」で、ウィルコムはPHS機能を搭載した無線LANアクセスポイント(AP)「どこでもWi-Fi」(バッファロー製)を初公開し、モックアップを展示している。これを使うことで、PHSの電波が入るところならどこでも携帯ゲーム機などの無線LAN機能を利用することができるようになる。
出展されていたどこでもWi-Fi。現在はモックアップで動作はしていない |
本体はそれほど大きくはないが、単3形乾電池×4を使うためある程度のサイズは必要となる。W-SIMはカバーを開けた本体側面に挿入する |
どこでもWi-Fiは、ウィルコムの小型通信モジュール「W-SIM(ウィルコムシム)」を搭載することができる無線LANのAP。発売は2009年春の予定で、正確な発売日や価格は現在のところ未定だ。
無線LANは、自宅や会社などに加え、最近は公衆無線LAN環境が着実に広がっており、外出先でも高速な無線LAN環境を実現している。ニンテンドーDSやPSPといった携帯ゲーム機にも無線LAN機能が内蔵され、ネット対戦ゲームが行えるようになっている。
ただ、公衆無線LAN環境はまだ使える場所はまだ限られている。それに対してウィルコムのPHS網は人口カバー率99.4%を実現しており、多くの地域で通信を利用することができる。
この2つを組み合わせるのがどこでもWi-Fiだ。外部の通信には、W-SIMを挿入することでPHS通信を利用。内蔵する無線LANのAP機能を使って携帯ゲーム機などを接続し、対戦ゲームなどがいつでもどこでも利用できるようになる、というわけだ。
モックアップに挿入されていたのは、いわゆる「赤耳」と呼ばれる4xパケット通信に対応したW-SIM。現時点で下り最大204kbpsの通信速度を実現している。速度こそ公衆無線LANのブロードバンド環境には及ばないが、PHSの利点はマイクロセルなどによる遅延が少なくレスポンスが早い点。
ブースの説明員によれば、ウィルコムとバッファローが独自に調べたところ、携帯ゲーム機のネット対戦ゲームでやりとりされるデータで必要なのは「数十kbps程度」と204kbpsの通信速度でも十分であり、むしろネット対戦ゲームにはRTT(往復遅延時間)が100ミリ秒以下というPHSの利点が大きく生きてくるのだという。
こうしたPHSの利点を生かす製品を検討している中で生まれたのがこのどこでもWi-Fiだという。それ以外にも、iPod touchのような無線LANしか搭載しないような音楽プレイヤーや携帯端末もターゲットに含まれている。
また、バッファローによる無線LANの設定を自動で行う「AOSS」ボタンを搭載。ニンテンドーDSやPSPとの接続はワンボタンで行える手軽さだ。
電源には単3形乾電池×4を利用。三洋電機の「エネループ」が同梱されており、専用の充電器も付属する。バッファローと三洋が密に連携してどこでもWi-Fiを「エネループに最適化した」(ブース説明員)という。通常のアルカリ乾電池も利用可能。エネループを使った時の利用可能時間は2時間程度だという。そのほか、ACアダプターでの利用にも対応する。
付属のW-SIMは、現時点ではアルテル製の「RX420AL」だが、発売日にどのW-SIMを採用するか、またW-SIM非同梱のモデルを発売するかは未定。W-SIMは差し替えて利用することに対応しており、別のPHS端末から差し替えたり、どこでもWi-FiのW-SIMを別のPHS端末で利用することは可能になる見込みだ。
無線LAN部はIEEE802.11b/gをサポート。WPA-PSK、WPA2-PSK、WEPなどの暗号化機能を搭載する。本体サイズは70(W)×110(H)×30(D)mm、エネループ×4を含む質量は約270g。ゲームショウの会場では、モリゲームズのブースで展示されている。
なお、今回の製品はウィルコム、バッファロー、三洋電機の3社連名での発表となっている。