兵庫県の1歳9カ月の男児(事故当時)がこんにゃくゼリーをのどに詰まらせ約2カ月後に死亡した事故で、製造元のマンナンライフ(本社・群馬県)が8日、この事故の原因となったミニカップ入りの「蒟蒻畑」の製造を中止した。同社品質保証室では「注意書きを大きくするなどの対策をとるには時間的に困難になったため」としている。今後は販売を再開するかどうかも含め、対応を検討していく予定だ。
対象となるのは、スーパー向けの「蒟蒻畑」6種とコンビニ向けの「蒟蒻畑」2種、さらにカロリーを控え目にした「蒟蒻畑ライト」5種の全13種類。「(新旧の商品が混在することによる)市場の混乱も招きかねない」として、8日の出荷を最後に販売も停止した。すでに市場に流通している商品については自主回収せず、テレビCMで「子どもや高齢者は絶対に食べないでください」と呼びかけるなどして、対応する(10日から放映予定)。
今回の事故をめぐっては、野田消費者相が同社の幹部を呼び出して、自主回収やゼリーの形状の変更などの自発的な検討を要請。農林水産省も業界側に、子どもや高齢者が食べないように警告する外袋のマークの拡大やミニカップ容器にも警告を表示するなどの再発防止策を求めていた。国民生活センターは「(今回の対応は)当然。今後はメーカーによって注意喚起に差がでないよう業界全体で取り組んでいってほしい」としている。
こんにゃくゼリー問題は、ネット上でも議論になっており、「もちの方が危険では? 」「保護者の責任も大きいはず」といった意見も多い。祖父母向けの孫育て講座などを開催している「ユウchan」の棒田明子編集長は「法や基準も必要だが、消費者も危険から自分や家族の身を守る"防御力"をしっかり身につけてほしい」と話している。
マンナンライフ社は1991年から一口タイプのこんにゃくゼリーを製造。これまでに国民生活センターが把握しているこんにゃくゼリーによる死亡事故17件のうち、3件は同社の商品が原因だった。全日本菓子協会によると、こんにゃくゼリーの売り上げは2007年度で約100億円で、そのうち約3分の2が同社。同社の売り上げの9割弱を「蒟蒻畑」が占めているという。同社については、兵庫県の事故で亡くなった男児の父親から8月中旬に事故の情報を知らされながら、業界団体に報告してなかったことも問題となっていた。