電力・ガスとも1月から値上げで家計を直撃
エアコンやファンヒーターなどで暖房している家庭は、電気代がアップする季節がやってきた。また、水道水の水温が下がる冬期は、炊事や風呂で湯を沸かすときに、水温の高い夏よりもガスの消費量が多くなり、ガス代もアップする。
おまけに電力各社、大都市の都市ガス会社は2009年1月からの料金値上げを予定している。これまでの冬と同様に、電気、ガスを使い続けていると、家計に大きなダメージになりそうだ。そこで今回は、迫りくる冬の寒さに向かって、少しでも電気代、ガス代を減らす節約術を紹介しよう。
節約の達人は厚着が多い!?
暖房費節約というと、エアコンの設定温度を冬は20℃に抑える、エアコンのフィルターをこまめに掃除するなどがある。確かに、低めに設定するにこしたことはないが、節約するのに一番効果的なのは、まず暖房をできるだけ使わないこと。暖房いらずで、いかに過ごすかがポイントだ。
主婦向け雑誌などで冬の寒い時期、公共料金節約の達人の自宅に取材で訪問すると、暖房なしでとても寒いことが多い。1月のいちばん寒い時期。部屋がしんしんと冷え込んでいて、メモを取るにも手がかじかんで字が書けない、という状況でも、達人やその家族は、全然寒そうではない。
どうしてか、と思ってよく見ると、部屋の中なのにえらい厚着をしているのだ。部屋着とは思えないような厚着のセーターを着ている。まるでスキー場にいるような重装備でびっくりしたこともある。
省エネルギーセンターの調べによると、カーディガンを着ると2.2℃、ひざかけで2.5℃、ソックス1枚で0.6℃体感温度がアップするとのことだ。数千万円の金融資産があっても、厚着で冬の暖房費を極力抑えている人は少なくない。
厚着の効果を高める新素材インナー
そういえば、1970年代くらいまで日本の一般的家庭にエアコンはなかった。多少リッチな家でも、子ども勉強部屋なんて暖房はほとんどなく、ジャンパーを着込み、寒い夜はマフラーをして、毛糸の帽子をかぶって寒さをしのいだものだ。
この厚着作戦、実は今、様々な防寒素材によって、1970年代よりも格段に、そして効果的に寒さから身体を守れるようになっている。そういう私もここ数年、厚着派に目覚め、寒い冬をほとんど暖房なしで快適に過ごしている。インナーはパタゴニア製の冬山・スキー用のアンダーウェア。値段は少しはるが、これがメチャあたたかい。これに冬山登山用ソックスを履けば、東京以西なら真冬でも、屋内の暖房はまず不要だ。
スポーツ用でなくても、ショッピングセンターのアンダーウェア売り場に行くと、防寒肌着がたくさん並んでいる。「発熱素材」「温熱素材」など、あたたかそうな新素材のアンダーウェアも豊富に出回っている。「カシミヤ製」「キルト」「中綿入り」など、昔からある定番の防寒アンダーウェアも健在だ。私が先のパタゴニア製と併用して愛用しているのは、厚手のキルト地のもの。これも大変あたたかい。
フローリングにはラグ、キッチンにはレジャーシートを
暖房費は住まいの条件によっても違ってくる。部屋が南向きかどうか、日照時間によっても大きく違う。また、一般的に集合住宅の2階以上は下の住戸の暖房熱によって多少あたたかくなる。一戸建ては新しい断熱性の高いものはあたたかいが、古いものは冬冷える。
寒い部屋や、フローリングで冷たく感じる場合などは床にラグ(カーペットのように部屋の全面でなく、好みの大きさにカットしたもの)などを敷くのも効果的。キッチンのフローリングのように忙しく立ち働き汚れやすい場所には、保温性の高いレジャーシートを敷くのもお薦めだ。
公共料金の値上げラッシュ、金融不安で先行き不透明なこの冬を、暖房いらずで乗り切ろう。
丸田潔(マルタキヨシ)
1952年東京都生まれ。76年早稲田大学文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て90年フリーに。マネーライターとして生活情報誌、主婦向け雑誌、マネー誌などで活躍中。金融商品や保険に関する記事のほか、家計や節約の実例記事を数多く手がけ、今までに取材した貯蓄・節約体験の実例は1,000例を超える。近著に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』(永岡書店)