Chromiumとサービスプロバイダでやりとりされるデータは次のとおり。

  • Search Suggest: アドレスバーに入力された文字列はデフォルトの検索プロバイダへ送信されサジェストデータが取得される。Incognito modeを使えばサービスプロバイダへの送信は実施されなくなるが、ローカルデータからサジェストが実施される。設定を変更することでサジェスト機能を無効にできるほか、検索プロバイダをGoogleやYahoo!以外のサジェストに対応していないプロバイダに変更することで機能を無効にすることもできる
  • Safe Browsing: フィッシングやマルウェアサイトの情報がだいたい30分おきにGoogleから取得されローカルにストアされる。対象となるページが閲覧された場合、ハッシュ化された値をGoogleに送信して該当するサイトの詳細情報が取得される。この機能を無効化することもできるが、無効にした場合は機能が使えなくなる
  • Suggestions for Navigation Errors: 存在しないウェブサイトに遭遇した場合、それらしいURLが提案される。これを実現するために失敗したURLがGoogleに送信されるようになっている。この機能も無効化が可能
  • Which Google Domain: サービス品質を向上させるためにChromium起動後にはGoogleに対してどのローカライズを使うかチェックする要求が送信される(これはデフォルトの検索プロバイダにGoogle以外を選択していた場合でも送信されていたため、Chrome 0.3ではGoogleが選択されている場合にのみ送信するように変更されている)

Chromeとサービスプロバイダでやりとりされるデータは次のとおり。Chromeの場合、前述したChromiumとサービスプロバイダでやりとりされるデータも同じように送信される。

  • Usage Statistics and Crash Reports: ブラウザ利用統計情報やクラッシュ情報をGoogleに送信する機能。この機能はデフォルトでは無効化されている。後から有効化して情報を送信することも可能。送られる統計情報はChrome機能の使われた回数、許容されたURLやサジェストクエリデータなど。氏名や電子メールアドレス、Googleアカウントといった個人情報は送信されない
  • GoogleUpdate: Chromeのバージョンを監視して自動的にアップグレードを実施するアプリケーション。データを確認するためのバージョン番号、言語情報、OS、ほかの関連情報から生成されるIDがGoogleに送信される。これはユーザ数を正確に把握するために使われる。Googleアカウントなどに関連した情報は送信されない。ChromeからGoogleUpdateを無効化することはできず、GoogleUpdateを使っているGoogleプロダクトがOSからすべてアンインストールされると自動的にアンインストールされる仕組みになっている
  • RLZ: ダウンロード情報などがChormeアドレスバーからGoogle検索を実施された場合に送信される。これがRLZパラメータと呼ばれるもので、効率のいいChromeダウンロード提供のために活用される。個人を特定できる情報は送信されないとされている。検索プロバイダにGoogleを使っている場合RLZパラメータを無効化することはできない。ほかの検索プロバイダに変更すればRLZパラメータは付加されないようになる

直接的に個人を特定できる情報は送信しておらず、ハッシュ値を送信するなどの配慮もある。気にならないユーザはまったく気にしないだろうが、この程度では気になるユーザはこのデータ送信に疑心暗鬼を抱くかもしれない。Ironのようにすべて無効化したい場合もあるだろう。

特にGoogleUpdateがChromeから無効化できない点は、多くのユーザに驚きを誘うだろう。ユーザに確認があってしかるべきと考えるのが普通だ。そこにChromeとChromiumという2つが用意されている理由がある。