WOWOWは、10月5日より探求者たちの熱き姿に迫る、ヒューマンドキュメンタリー番組『クエスト~探求者たち~』の放送を開始する。エンタテインメント性に溢れ、現役で活躍しているスゴイ人に毎回フォーカスをあて、生き方、生き様を追い、そのフィロソフィーを炙り出すという。その日曜の朝の新たなドキュメンタリー番組のナレーションを務めるのが、ジョン・カビラ。「ドキュメンタリーのナレーションは大好き」という彼に、同番組の魅力と見どころを語ってもらおう。
『クエスト~探求者たち~』でナレーションを務めるジョン・カビラ |
ジョン・カビラ : 「北野武さんとの接点はまったくないですね。だから新鮮ですね。(今回のラインナップにある人たちと)お会いしたことがない人のほうが圧倒的に多いですね。クエストでは今、北野武さんが何を考えていらっしゃるのか、それを垣間見る楽しみがあります。すでにもうわくわくしていますね」
クエスト第1回目は、あの北野武が登場。お笑い界で一世を風靡し、タレントとして圧倒的な人気を誇るビートたけしが、映画監督・北野武として衝撃的デビューを果たしてから、今年で20年。日本のみならず、世界のキタノとして世界中の映画ファンの期待を集めながら映画を撮り続けている彼の素顔にクローズアップ。公開中の映画最新作「アキレスと亀」をめぐる監督・北野のこれまでと今、そしてこれからの北野に迫る。
ジョン・カビラ : 「ご自身もコメディアンである世界有数の監督。すごいですよね。第1回の北野さんだけでなく、毎回、必ず見たことのないその人の魅力、背景、生活の断面、1日というのが必ずある。それらを視聴者の皆さんといっしょに発見する楽しみがこの番組にはある。僕は現場に入っているわけではないので、ナレーションを担当する僕が最初の視聴者なわけです。ちょっと反則ですが、すごく楽しみ。たぶん、プロデューサーやディレクター、構成作家が書かれたナレーション原稿がベースになると思いますけど、最初の視聴者である僕が、どれぐらいその映像の魅力をインプットできて、どれくらいフィードバックできるかというところも楽しみですね」
第1回「映画監督 北野武」(10月5日放送) |
収録前からかなり熱くなっているカビラだが、大好きなドキュメンタリーのナレーションの仕事が巡ってきた想いについても振り返っていた。
ジョン・カビラ : 「もうわくわくしています。ナレーションの仕事は、番組によって求められるものが違う。まずは企画意図ですよね。で、僕を起用してくれたWOWOWのみなさんの企画意図がどこにあるのか、WOWOWと視聴者のみなさんが求めるカビラ節は何なのか? 緩急どちらなのか? 当然、ドキュメンタリーの場合は使う題材によってそれがおのずと決まってくるでしょうしね。それはスタッフのみなさんと密にミーティングを持たせてもらって、あとは現場で声を当ててみないとわからないということもある。(ドキュメンタリーは)生き物のように変わってきますので、スタッフの人たちと密にコミュニケーションを図りながら進めていきたい。あとは、現場のマジックを楽しむという感じですかね」
第2回(10月12日放送)は、「コルシカのサムライ画家」と呼ばれる松井守男に迫る。その破天荒な半生を生きた彼は、かの巨匠ピカソに「お前は俺のようになる」と言わしめた。活動の拠点は地中海のコルシカ島。故郷・豊橋の面相筆を使い、和服姿で描く風貌はまさにサムライ画家。フランスに渡り、画商とのトラブル、孤立、最愛の父の死など、苦労の連続のなかで、死ぬ覚悟で描いたという「遺言」を機に、日本人として初のフランスの芸術文化勲章とレジオン・ド=ヌール勲章の双方を受勲した。
第2回「コルシカ島のサムライ画家 松井守男」(10月12日放送) |
ジョン・カビラ : 「世間で知られている人や超一流の人から、まったくその存在すら知られていない人までが登場される。松井さんなどは、フランスでは民間人の表現者として最高の賞を2度も受賞されている。なんで僕は知らなかったのか。残念ながらまったく松井さんを知らなかった。この番組は、まだまだ知られていないすごい人たちの魅力や弱さ、生き様を知ることができるところが魅力なんです。探求している人たちの苦労、挫折を見ることによって、生き方のヒントを得ることができる。日曜の朝にいろいろなヒントが詰まっている。特に探求されている人というのは、僕らがはかり知れないような世界を見ているでしょうし、その人たちを見て、僕たちはすごく刺激を受けることになると思いますね」
しかし、ドキュメンタリーのもつ繊細さ・緻密さにも彼は気を配る。この番組はジョン・カビラ劇場ではなく、あくまでドキュメントの対象となっている「人」が主人公であるということにも。
ジョン・カビラ : 「主役はあくまでもドキュメンタリーのテーマだったり、この場合はヒューマンドキュメンタリーですから、まさにその対象となる『人』が主役なので、いかにそういう人のストーリーを邪魔せず、魅力を引き立てていくのかにかかってくる。その人の生き方、生き様から表れるメッセージですべてが決まります。この番組は、主役は探求者ですから、受け止める僕らが『その人がどういった道を歩むのか』を感じて(その後の生き方に)どうフィードバックするかということが大事だと思うんですよ。だから、ジョン・カビラ・ショーではない楽しさが確実にあります」
彼らしい気の配り方だが、ただ、視聴者としては、彼にしか持ち合わせない独特の語りを期待しているところもある。
ジョン・カビラ : 「担当プロデューサー、ディレクターの意図があって、いい意味で裏切られれば楽しいですけどね。作品を描いている人の意思が一番尊重されるべきなので、いい意味でサプライズできればいいとは思っています。僕の仕事は、絵筆の最後のタッチなので、タッチ勝負というか、その間のせめぎ合いはあるでしょうね。ただ、本当につくりこんだ作家の一字一句練りに練った台詞とのせめぎ合いなので、ピカピカのレンズのうえに僕の指紋が付くようなことになったら……。ユーモアや遊びが許される題材もあれば、ギリギリのところで生きている人もいるわけで、『これってバカにしていない?』って思われちゃうかもしれない。だから、題材の人へ向けた最大のリスペクトが大前提となるでしょう」
知られざる偉大な人たちの意外な素顔、ジョン・カビラのナレーション、そして千住明による音楽。『クエスト~探求者たち~』への期待は膨らむ一方だ。最後に、ジョン・カビラらしく、スマートに短くこの番組のメッセージを添えてくれた。
ジョン・カビラ : 「日曜の朝に、いっしょに発見して、先端を歩む人たちの生き様に触れましょう。必ず僕なりみなさんなりの発見がありますから」