米RealNetworksは9月30日(現地時間)、DVDタイトルの複製をパソコン内に作成して管理・視聴できるソフト「RealDVD」の販売を開始した。同時に同ソフトの提供に際し不当な圧力を受けたとして大手映画スタジオなどを訴えると発表した。これに対して映画産業側もDigital Millennium Copyright Act (DMCA)違反を理由にRealNetworksを提訴。RealDVD発売が訴訟合戦へと発展している。

RealDVDは、DVDイメージをパソコン内または外付けのハードディスクドライブに記録し、DVDディスクを入れずにパソコンでDVDのコンテンツを楽しめるようにする。取り込んだDVDイメージには著作権保護技術が施され、ユーザーのライセンスキーが有効なRealDVDのみに再生が制限される。追加ライセンスは最大4つとなっており、5台までのPCで1つのDVDイメージを共有できる。RealDVDを利用するメリットとして、DVDのバックアップ、DVDコレクションの効率的な管理、モバイルでの消費電力を抑えたDVD鑑賞などが挙げられている。対応OSはWindows XP SP2以降またはWindows Vista。価格は49.99ドルだが、現在期間限定で29.99ドルで提供中。追加ライセンスは1つあたり19.99ドルだ。

RealはRealDVDについて、消費者のフェアユースの範囲内での合法的な複製利用であると主張している。DVDはCSSと呼ばれるコピー防止技術によって暗号化されており、複製の作成は著作権保有者側にとって想定の範囲外の使い方となる。全米映画協会(Motion Picture Association of America: MPAA)などは複製利用を認めない方針を打ち出し、これまで訴訟を繰り返してきた。RealDVDに対しても映画産業側が販売中止を求めたようだ。詳細には触れていないが、発表の中でRealは「消費者が購入したコンテンツの価値を引き上げ、また消費者に柔軟性を与える新たなテクノロジを受け入れずにつぶそうとする映画産業に失望させられた」と批判。RealDVDの合法性については、CSS暗号化を損なわずに、さらに暗号化レイヤーを追加してDVDソフト以上のセキュリティを実現している点を強くアピールしている。Realが起こした訴訟の対象は、DVD Copy Control Association、Disney Enterprises、Paramount Pictures、Sony Pictures Entertainment、Twentieth Century Fox Film、NBC Universal、Warner Bros. Entertainment、Viacomなど。

RealDVD販売にふみきったRealに対して、MPAAも訴訟を起こしたことを9月30日(米国時間)に発表した。「DVDに組み込まれたソフトウエアの著作権保護技術を、RealDVDが不法にバイパスしている」としている。MPAAのエグゼクティブバイスプレジデントであるGreg Goeckner氏は「RealDVDはStealDVD(DVD窃盗)と呼ぶべきだ」と述べ、さらに「RealNetworksは製品の違法性を認識しており、これは米国の映画製作者とテクノロジーコミュニティがこれまでに築き上げてきた信頼関係を損なう行為だ」と批判している。