映画『まぼろしの邪馬台国』の完成披露試写会が29日、都内で行われ、吉永小百合、竹中直人、宮崎香蓮、堤幸彦監督が出席した。

左から、吉永小百合、宮崎香蓮、竹中直人

『まぼろしの邪馬台国』は、邪馬台国について研究し続けた目の不自由な文学者・宮崎康平とその妻・和子の深い絆を描く物語で、破天荒な主人公、康平を竹中が、その康平を献身的に支える妻・和子を吉永が演じる。昭和40年代のロマンと家族愛が描かれた作品だ。 吉永と竹中は、撮影時のエピソードを聞かれ、「島原の撮影現場にある小さな川で、吉永さんの近くで口笛を吹いてたんです。そうしたら、それにあわせて吉永さんが踊ってくださって、口笛をさらにテンポよく吹いてみたら、吉永さん、小川をぴょんぴょんと飛び跳ねはじめたんです。そのあと足を踏み外して、ドボーンと水の中に落っこちてしまって(笑)」と竹中が語ると、吉永は「エピソードは竹中さんが作ってくれるかと思いましたが、実際は私でした。ドジな部分を竹中さんに全部見られました。でも、お水がきれいで気持ちよかったんですけど、恥ずかしかったです」と照れ笑いした。

「和子さんから私たちにこうしてほしいというのは何もなくて、当時のお話とか、歩まれた生活のこと道行のことを写真を交えながら、自分のイメージを膨らませました」と吉永

監督を務めた堤氏は「非常に長い年月を過ごす2人の話なので、1シーンごとにいかに現実味をおびるかを考えて撮りました。例えば卵を投げるシーンでは、当時の食糧事情を考えて、たくさん投げるのはもったいないということになって、たくさん投げずに1個投げることにしたら、勢いで2個投げたり。ひとつひとつ丁寧に向き合って撮ってきたなと実感しています」と振り返った。

また、会見の後半には、宮崎夫妻の実の孫で、吉永の幼少時代役を演じた宮崎香蓮も登場。「私は祖父が死んだ後に生まれました。この映画のおかげで誰よりも島原を愛し、前向きに生きた祖父と祖母の存在を知ることができました。この映画のすべての方に感謝の思いでいっぱいです。私には吉永さんや竹中さんのようなすばらしい役者になりたいという夢があります。私も祖父母のように夢を追い続けたいと思います」とこの映画に寄せる思いを朗読した。

2006年度の「全日本国民的美少女コンテスト」で演技部門賞を受賞した実績のある宮崎

そして吉永は、この映画について「日活の青春映画以来の楽しさ」と例え、「夢を持って生きることの大切さを感じました。なかなか出口のない時代、ひとりひとりが生きていくことを感じてくれればうれしい。こういう作品を見ていただけるというのはうれしいし、こういう夫婦がいたということを知っていただきたい。力になると思います」と語った。

会見の最後に、同作の題字を担当した、ガムテープ案内文字職人の佐藤修悦氏も登場。堤監督、吉永、竹中の名前を案内文字にしてプレゼントするというサプライズも披露された

映画『まぼろしの邪馬台国』は、11月1日から全国ロードショー。