記録的な価格性能比を達成
Crenshaw氏は最新のニュースとして、1M tpmCベンチマークでRed Hat Enterprise Linux 5.2とIBM System xサーバとの組み合わせにより、記録的な価格性能比が達成されたことを紹介した。
Intel Xeonプロセッサを使用した48コア構成のシステムで、1トランザクション当たりの処理コストが、"大きな壁"と見なされてきた2ドルを初めて下回ったという。こうした成果も、ITインフラのコストを下げ、特殊な専用システムでしか実行できなかった処理を安価な汎用システムで処理できるようにしていく、という大きな流れの中の取り組みの1つと位置づけることができるだろう。
同氏が紹介したRed Hatの最新のシステム・アーキテクチャでは、物理サーバ/仮想化サーバ/クラウドがすべて並列に置かれ、それらを統一的に扱うための共通API層としてRed Hat Enterprise Linuxが位置づけられている。もはやRed Hatは"Linuxの会社"ではなく、Linuxは重要ではあるが基本的には全体の中のコンポーネントの1つに過ぎず、Linuxを中核に据えつつ、その周辺の要素全てをまとめて提供することで低コストなITインフラを実現することを目指す会社なのだ、ということがよく分かる。
Qumranet買収の真のねらい
Crenshaw氏は前日発表されたQumranetの買収についても言及した。
QumranetはLinuxカーネルに仮想化機能を追加する"KVM"の開発元として知られており、そのせいでRed HatによるQumranetの買収も、KVMを目的としたものと見られていたように思う。しかし、Red Hatの思惑としては、どちらかというとQumranetのもう1つの製品である、仮想デスクトップ・ソリューション「SolidICE」の獲得の方が大きいようだ。
SolidICEは、Windows/Linuxデスクトップをサーバ上の仮想マシンを利用して実行するもので、パフォーマンスの高さが評価されている。Red Hatでは、SolidICEが使用している"Simple Protocol for Independent Computing Environments(SPICE)"プロトコルのオープン化や、SolidICE自体のオープンソース化も視野に入れているという。
同社の買収により、Red Hatは、Linuxサーバだけでなくクライアント環境の仮想化まで一括してサポートする体制を整えたことになる。