節約の強い味方「おうちごはん」

みなさんは「おうちごはん」という言葉をご存知ですか? 最近、料理雑誌や主婦向けの生活情報誌の見出しなどでよく見かける言葉です。お料理レシピのサイトやブログのタイトルでも「おうちごはん」は大流行りですが、こうした雑誌やサイトをあまり見ない人にはなじみが薄いかもしれません。「おうちごはん」は文字どおり「おうち」=自宅で食べる手づくりのごはんのことです。

「おうちごはん」に対して、レストランやファーストフードのお店など、外で食べるごはんが外食。外食は一般的な言葉ですが、「おうちごはん」に対抗して、「そとごはん」とか「そとめし」などと言ったりすることもあります。

「おうちごはん」vs.外食、あなたはどちらを好みますか?

「おうちごはん」には、よいところがたくさんあります。

  1. 食材費、調味料代、ガス代などの実費だけで済み、外食よりも断然安上がり。
  2. 食材を自分で選別できるので、安心感がある。
  3. 食べたいものが選べ、自分の好みの味付けにできる。
  4. たとえば深夜でも、時間を気にせずに食事ができる。
  5. テレビを見ながら、音楽を聴きながら、くつろいで食事ができる。

などなど。

物価の高騰に加え、医療費や老後のお金など先行きは不安だらけの昨今、安上がりな「おうちごはん」に注目が集まっています。

一方、外食のメリットとしては

  1. 作る手間と面倒な後片付けが不要。
  2. 自分では作れない凝った料理や、なかなか手に入らない食材を使った料理が食べられる。
  3. 食べたいときに、すぐに食べられる。
  4. プロの料理人による本格的な味が堪能できる。
  5. 雰囲気のいい店で食べれば、プチリッチな気分になれる。

このように、外食には手間要らずで、おいしいものが食べられるというメリットがありますが、そのメリットはすべてお金に換算されています。たとえば、つくる人や後片付けする人の人件費。一流のシェフが作る料理ほど、それに比例してメニューの値段が高くなります。また、雰囲気のよいインテリアや超高層ビルの最上階など、ロケーションがよければよいほど気分はよいかもしれませんが、店舗の賃貸料が高くなるので、その分が料理の値段に上乗せされてきます。つまり、外食をした場合には、食材の原価に加えて、人件費や店舗の賃貸料、お店の利益などが上乗せされた分を支払うことになり、外食ばかりを繰り返していてはお金がいくらあっても足りません。

食費を節約したければ、外食はしないにこしたことはないというのが結論です。

1週間のうち4日間、家で夕食を作るだけで月2万5,000円の節約効果!?

食費節約上手な主婦はよく「外食したつもりで、ちょっとぜいたくな食材を買っちゃいましょ」と言います。つまり、外食することを考えれば、スーパーでお刺身の盛り合わせや国産牛を買っても、家計への影響は大したことはないということ。それだけ、外食は高くつき、"おうちごはん"は安上がりというわけです。

たとえば、外食で食事と飲み物を注文したら、最低でも1,500円~2,000円。コンビニで購入した場合でも1,000円弱はかかります。その金額で食材を買えば、3~4日分はまかなえるはず。食費節約上手な主婦のなかには、4人家族の朝昼晩3食あわせて、1週間5,000円でやりくりしいている人もいるのですから、1人分の夕食なら2,000円もあれば、3~4日分は楽勝です。

とはいうものの、毎日外食の人が、いきなり毎日、"おうちごはん"にするのは無理があるでしょう。まずは、週の半分を家で作ることから始めてみましょう。ウイークデー5日間のうちの3日間、週末の1日、合わせて4日分の夕食をおうちごはんにすると、1回の外食代を2,000円と見積もった場合、1週間で8,000円、1カ月(4週と残りの日)で約3万5,000円浮く計算になります。食材費を差し引いても、2万5,000円は節約効果が期待できます。

お米の「まとめ炊き」のコツ

家に帰ってから、お米をといで、ご飯が炊けるのを待つことを考えると、つい面倒になって「外食しちゃおう」となりがちです。これを防止するには、家にごはんを常備しておくこと。家に帰れば、常にごはんがあるように、ごはんをまめとめ炊きするのがおすすめです。

4合炊きの炊飯器なら、4合まとめて炊きます。1合=茶碗2膳強=1食分を目安にすると、4合でちょうど4日分になります。まとめて炊いて、粗熱が取れたら、1食分ずつをラップに包んで冷凍します。食べるときは、耐熱容器にラップのまま乗せて加熱すれば、いつでも熱々のごはんを食べることができます。冷蔵室で保存するのは、おすすめできません。電子レンジで加熱しても、ぼそぼそした食感になり、あまりおいしくないからです。

「おうちごはん」をテーマに3回に分けて基本ワザを紹介します。次回は「調理の基本と常備品」の予定です。

村越克子(むらこしかつこ)

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店