Booksベストセラー週間総合ランキング9月12日~9月18日では、『からだにおいしい野菜の便利帳』(板木利隆)の1タイトルのみが新たにトップテン入りした。

9月12日~9月18日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 O型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
2位 A型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
3位 徳間アニメ絵本 崖の上のポニョ(徳間書店) 宮崎駿
4位 B型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
5位 からだにおいしい野菜の便利帳(高橋書店) 板木利隆
6位 嵐写真集 ARASHI IS ALIVE!(集英社)
7位 AB型 自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
8位 悩む力(集英社) 姜 尚中
9位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
10位 おつまみ横丁(池田書店) 瀬尾幸子/編集工房桃庵

『からだにおいしい野菜の便利帳』(板木利隆)は、野菜からきのこ・山菜類、ハーブにいたるまで100種類以上の食材を網羅しているガイドブック。食材ごとに主な産地や旬の時期を教えてくれるほか、実際に店頭で購入する際に役立つ新鮮な物を選ぶコツなども解説。さらにそれぞれの食材の良さを引き出す意外な調理法や安全性を高める調理のポイントなどの情報も満載。せっかく野菜を買っても使い切れずに駄目にしてしまうという人のために、長持ちする保存法まで教えてくれる。家庭の主婦はもちろんのこと、料理が苦手な人にも「ちょっと試してみようかな」という気にさせる一冊。

単行本フィクション部門に目を移すと、4位に『告白』(湊かなえ)が初登場でランク入りしている。これは、娘を校内で失った女性教師が犯人である少年に復讐を果たす物語。著者は新人でありながら登場人物の視点から静かに人間の闇を描いており、一貫して貫かれるダークな雰囲気が読後も読者を包み込む。

今週の注目

着ぐるみデパート・ジャック(宝島社/水田美意子/税別1,143円)

傭兵上がりで今はバーのマスターとして生きる主人公・無限良一は、唯一の店員である21歳の千絵と買い物に出掛けた先の「大阪デパート」で思わぬ重大事件に巻き込まれる。買い物中に突如としてパンダなどの着ぐるみを着た武装集団が現れ、人質を取ってデパートを占拠したのだ。物語は、無限と千絵が逃げ遅れて人質になるところからスタートする。犯人たちは「文部省の廃止」を要求し、デモンストレーションのために階段やエレベーター・エスカレーターを次々に正確に爆破させていく。そしてついに、人質の1人が犠牲になる……。

この物語において最も根本的な疑問は、人質である登場人物にも読者にも共通している。つまり、犯人たちはなぜ着ぐるみなのかという謎だ。読み進めてもその疑問の手がかりは一向に明かされず、次第に読者は「小説としての単なるエキセントリックな演出に過ぎないのか」と思わされるが、最後にはその必然性が解き明かされる仕掛けだ。

作者は12歳で「『このミステリーがすごい!』大賞」特別奨励賞を受賞しており、現在は高校生。「文部科学省」を「文部省」と書いたり、現実にはあり得ない二十歳そこそこの「一等陸尉」が登場したりと突っ込みどころも少なくない。また、人物設定には幾らか疑問も残るが、クライマックスの緊張感は登場人物の驚きとともに読者にストレートに伝わってくるようだ。犯人の真の目的が暴露される時、この一見不可思議な物語はひとつの筋でつながる。