金原ひとみによる同名の芥川賞受賞小説を原作とした蜷川幸雄監督の映画『蛇にピアス』(※初日舞台挨拶の模様はこちら)。この作品で、ピアスやタトゥーといった過激な身体改造の世界にのめり込む19歳の主人公ルイを熱演しているのが女優の吉高由里子。映画やドラマを中心に活躍し、"若き演技派女優"、"生まれながらの女優"など高い評価を得ている吉高が、最新主演作『蛇にピアス』について語った。
――吉高さんは、『蛇にピアス』でヌードに挑戦して話題となりました。蜷川監督に撮影前にヌードを披露したというエピソードを聞いたのですが……。
吉高由里子(以下、吉高)「はい。衣装合わせの時に、見ていただきました。この作品には必要だし、撮影となった時、蜷川監督の想像と私の裸が違ったら嫌だという気持ちがあったんです」
――ヌードになることに関して、躊躇や抵抗はなかったのですか?
吉高「なかったですね。蜷川監督にとにかく興味があって、一緒に仕事をしたいという気持ちが強かったので」
――実際に、蜷川さんとお仕事して、どんな印象を持たれましたか?
吉高「凄い大きな人だと思いました。怖いとか、怒鳴るとかいう話を聞いてたんですけど、それだけでは人はついて来ないはずだと、仕事する前から思っていました。いざ、お仕事してみると、メンタル面的に他人の事をしっかりと見てくれている人という気がしました。演技指導でも、人を内面から動かしてくれるんです」
――この映画は原作があるわけですが、主人公のルイを演じるのに、吉高さんは原作のどんな部分を意識して演じたのでしょうか?
吉高「私が演じるルイが、観客に馬鹿っぽく観られたら嫌だと思ってました。原作のある作品って、読んだ人ごとにイメージがあって、それぞれのルイの姿があると思うのですが、映画を観てくれた人に『そこに吉高由里子がいるのではなく、ルイがいる』と感じてもらえたら嬉しいと思います。そこに近づけるように、演じました」
――ルイは何かに追われるように、過激なピアスやタトゥーといった身体改造に走り、アマ(高良健吾)とシバ(ARATA)というふたりの男性を愛します。吉高さんは、そんなルイのことをどう思いましたか?
吉高「ルイみたいな考え方もあるという事は理解できるのですが、さすがに、ルイみたいになりたいとは思わなかったです(笑)」
――とにかく過激なシーンが多い映画ですが、演じていてどうでしたか?
吉高「相手がARATAさんと高良さんだから演じられたし、良かったのだと思います。お互いの精神的な部分もカバーし合えたし、相談しながら演技できたので、辛いとは感じなかったですね」
――そうして完成した作品を観て、どんな感想を持ちましたか?
吉高「撮影がずいぶん前だったので、『懐かしいなあ』とか思うだけですね(笑)」
――映画『蛇にピアス』を楽しみにしている読者に、ひと言お願いします。
吉高「男の人は観ていて痛く感じる映画かもしれないです。過激な描写ばかりが話題になっているけど、必要不可欠なシーンだったと思うので、特に気にしていません。それが観たくて映画館に来る人もいるかもしれないけど、私はこの映画は普通の純愛ストーリーだと思っています。私自身、この映画に出演するまで、ピアスやスプリットタンの事は詳しく知らなかったのですが、ピアスやタトゥーも凄くリアルですし、そういう部分も見て欲しいですね」