辻野晃一郎氏のゲスト講演

Photo38:グーグルの執行役員 製品企画本部長である辻野晃一郎氏。

最後に講演に立ったのはGoogleの辻野晃一郎氏。氏はGoogleの戦略と製品群について簡単に紹介を行った。

Googleの使命は「情報をまとめてアクセスできるようにすること」に尽きており、これは昔から今も変わらないとする(Photo39)。ただし、そのInformationは次第に拡張しており、今後もまだまだ新しいContentsを追加してゆくのが基本方針であるとしている(Photo40)。ただここでGoogleが重視するのは、全てをGoogleで提供するわけではなく、あくまでもGoogleはOpenなAPIを提供するだけで、その上に自由なサービスを構築して使って欲しい、としている(Photo41)。

Photo39:これはまぁ以前から言われている事。

Photo40:Google Desktopが入ってないのがちょっと気になる。

Photo41:これもよく言われる話ではあるが、この図は非常に直感的にわかりやすい。

ここで話はちょっとだけ日本に視点を移す。日本はやはりブロードバンドでは先進国の1つであり、日本のマーケットは重要であるとしており、日本のオフィスはこうした日本のユーザーをターゲットとした開発を行っているそうである。その一例が急上昇ワードであり、日本発であることが紹介された(Photo43)。

Photo42:これは自分自身がどの程度Googleに依存しているかを考え起こすと、納得できる話である。

Photo43:iGoogleとGoogleモバイルで利用できる。サービス開始は今年4月15日であった。

さて、再び話はワールドワイドに戻る。Google Mapが検索の中では一番新しい追加項目(YouTubeは、筆者的には新たなコンテンツの追加という気がする)であるが、Google的にはこのMapも情報の1つでしかない、という位置づけである(Photo44)。

Photo44:会場で「なるほど、こう書かれると非常に理解しやすい」と思わず感心してしまった。

実際に、Google Mapを使ってユーザーが様々なコンテンツを生成しており、こうしたものを1度も使ったことがない、という人はそう多くないだろう(Photo45)。

Photo45:ユーザーコンテンツの事例。最近では、ペンションなどで地図がいきなりGoogle Mapという事例もだいぶ増えてきた。実際そのほうが便利だったりする。

そもそも地図もまた情報である、というのは行基や伊能忠敬の日本地図がいかに役立ったか考えれば一目瞭然(Photo46)、という話であった。

Photo46:ここでこれが出てくるとは正直思わなかった。

実際アメリカでは、例えば災害時の避難経路をGoogle Map上に示すという事をが行われたった例などもあり、また日本も地図先進国ということでかなり広く利用されているとした(Photo47)。ただGoogle Mapに関しては最近追加されたストリートビューがプライバシーの観点で物議を醸し出している事に触れ、「お客様の声を真摯に受け止めて検討を重ねてゆく」とした上で、すでに日本の11都市でサービスを開始していることを改めて紹介した。

Photo47:カルフォルニアで山火事が起きたとき、地元のラジオ局が避難経路をGoogle Mapで公開した事があり、たまたまそのとき出社していたGoogleの社員がそれに気づいて緊急招集をかけ、リアルタイムでその避難経路の更新を掛けるといった事例があったそうである。

次がYouTubeである。言うまでもなく動画サイトとしては世界で有数のものであり、そのコンテンツの量もアクセス時間も非常に大規模である(Photo48)。

Photo48:まぁこの10%の帯域を占有しているという数字をどう見るかは人それぞれではあろうが。

当然YouTubeもまたユーザーコンテンツが重要であり、実際にあるアーティストとそのファンがYouTubeを通して交流したといった事例が紹介された。

Photo49:それはいいのだが、ニコニコ動画における「ねこ鍋」の様な他分野とのコラボレーションの話をあまり聞かないのは、単に筆者が海外のコンテンツの現状を知らないだけなのだろうか?

その次が、先週(2008年9月2日)発表したGoogle Chromeである。とはいっても、これはほんの触りだけ。「今のブラウザは、最近の進歩したネットワークに十分に追いついていないのではないか」という事でGoogleとしてもブラウザの提供を始めたという経緯と、入手法が簡単に紹介されるにとどまった(Photo50)。

Photo50:これについて今更ここで説明する必要はないだろう。個人的な感想としては、「まぁまだβだし」といったところ。ちなみに筆者はOpera使いである。

最後の内容が、少しだけBeyer氏や高橋氏の講演と被るものとなった。Googleもまた、Going Greenの風潮を無視することはできない。そこでGoogle Japanが始めたのがOne Green Projectである(Photo51)。どんな運動にしても、何かしらの「ご褒美」がないとなかなか進まない。そこでGoogle上でささやかながら「ご褒美」を可視化する形で示す事で、少しでもGreen化に貢献しようというアイディアであることが紹介されて、氏の講演は終了した。

Photo51:GoogleはOne Green MapとiGoogle用ガジェット、それとApplication Engineを提供する形。例えばCO2削減アクションについても、その記録を積み重ねてゆくとアイコンの形が変わって効果が見えるようになる、というものだ。