キヤノンは17日、都内で発表会を行ない、「EOS 5D Mark II」をはじめ、新型コンパクトデジタルカメラ、レンズ、プリンターを発表した。村瀬治男 キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長は「一眼レフ市場でNo.1シェアを獲得する」と語った。
壇上に上がった村瀬治男キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長は、市場動向と製品の概略について「デジタル一眼レフ市場は順調に推移しており、100万台の大台を越えた。今年は1980年に記録したフィルム時代の最高記録128万台をいよいよ超える勢いだ。この年に、それにふさわしい一眼レフを発表できることを大変うれしく思う」と語った。
「新しい製品の名前は『EOS 5D Mark II』です。キヤノンの一眼レフのラインナップにあり『5』という名前は歴代フィルムカメラの時代から、中級上級の写真愛好家のから評価と信頼をいただいてきた。キヤノンにとっても思い入れのある数字でもある。なかでも2005年に登場した『EOS 5D』は、非常に意義のあるカメラだったと思う。普及価格帯で35mm判フルサイズCMOSを採用し、高級一眼レフのトレンドの牽引役となった。そしてユーザーのなかにあったアナログとデジタルの垣根を取り払い、デジタル化の流れを決定付けたのがEOS 5Dであるといったも差し支えないと思う」
「新しいEOS 5D Mark IIは、フルサイズCMOSセンサー、2110万画素、DIGIC4などのスペックにより、より自在に、快適に、高度な映像表現が可能となった。感光材料の値上げ、環境意識の高まりなどを受け、今後アナログ方式が衰退に向かうのは否定できない現実ではないかと思う。しかし、銀塩の時代から長く写真に親しんでこられた方の楽しみまで衰退させることになってはならないと考える。写真を撮影し、プリントし、鑑賞する。この醍醐味はアナログもデジタルも不変。EOS 5D Mark IIにより、エントリークラスからミドルクラス、プロ機まで磐石のラインナップとなった。今年、国内デジタル一眼レフ市場で、シェア45%以上、トップシェアを目指します」と抱負を述べた。
続いてコンパクトデジタルカメラ、プリンター市場でもトップシェアを獲得する予定であると語った。「コンパクトデジタルカメラの市場は、今年は1000万台と予想している。購入形態を見ると、買い増し、買い替え需要が中心になりつつある。そのため、商品選択については価格に加えて、よりよい機能、性能、あるいは使いやすさを求める声が増えている。国内のコンパクトデジタルカメラ市場で2004年から2007年まで4年連続シェアNo.1だが、引き続き、今年はシェア20%以上、5年連続トップとなる計画だ」と語った。
「プリンターは買い替えが中心になりつつありますが、市場活性化のため、今年フルモデルチェンジを行ないます。新製品7モデルとも新しいインクを使用し、購入に際して重視されるポイント、写真画質を向上させている。今年は『MP630』のみで20%以上、全モデルで50%以上のシェアを目指している」と、淡々としたなかにも確固とした思いを感じる口調で語った。
次に真栄田雅也 取締役がデジタルカメラ新製品の特長について解説を行なった。
「過去3年間、EOS 5Dはハイアマチュアやプロに高い評価を得てきた。その後継機として、満を持して登場する『EOS 5D Mark II』は、さらなる高画質と高機能を徹底的に追求したハイアマ機。2110万画素フルサイズCMOSセンサーを搭載しており、ダイナミックなフレーミングや、背景を大きくぼかし背景を浮き立たせるといったフルサイズセンサーならではの奥行きのある画像を楽しんでいただける」
「圧倒的高画質を実現するキーパーツは、自社製CMOSセンサーおよび新世代映像エンジンDIGIC4。新開発のCOMSセンサーはマイクロレンズの開口率や、カラーフィルターの透過率をアップしたり、センサー自体の対ノイズ性を向上させることで、従来比約30%のノイズ低減を実現した。新世代画像処理エンジンのDIGIC4は、従来比約1.3倍の高速画像処理性能をもち、低ノイズできめ細かい美しい画像作りに貢献している」
「さらに今回、EOSシリーズとして初めてフルHD対応の動画撮影機能を有している。動画はコンパクトモデルでも搭載しているが、EOS 5D Mark IIでは夜景のような暗いシーンでも、ノイズの少ないきれいな動画が撮影できる。また、静止画と同じように背景をぼかした美しい画像が動画でも可能になる。特にポートレート撮影などで威力が発揮されると考えている。そしてマクロレンズやフィッシュアイレンズなど、レンズの特長を活かした独特の描写ができる。一眼レフならではの美しく多彩な動画表現を実現した」と語った。
新しいレンズ「EF24mm F1.4L II USM」については、プロフォトグラファーのために開発した大口径広角レンズだと解説。「このレンズで特に重視したのは、デジタル時代、高画質時代に対応するための光学性能の大幅な向上。その方策としては大きく分けて2点あります。ひとつは収差の大幅な低減のために非球面レンズとUDレンズを追加したこと、そして新たに特殊コーティング『SWC』を開発したこと」と語る。
SWCは撮影用レンズにおいて世界で初めて実用化に成功したもので、可視光の波長以下の微細構造による反射防止コーティング。その目的は、フレア・ゴーストの徹底的な抑制にあるという。「1960年代から蛾の複眼の表面にある微細な凹凸が低屈折率反射防止効果を持つことが知られていた。この理論を応用して、可視光の波長より微細なクサビ状の構造をレンズ面に形成し、屈折率を連続的に変化させることで反射光を防ぐ、つまり、フレア・ゴーストの発生を防ぐというのがSWCの原理です。従来の蒸着膜が苦手としていた入射角の大きな光、つまり広角レンズにおいても高い反射防止効果を発揮する。今後、曲率の大きなレンズを中心にSWCを活用する予定だ」と語った。
その後、コンパクトカメラやプリンターの解説に続き、マーケティングについても説明が行なわれた。プリンター「PIXUS」シリーズについては、従来同様、山田優、蒼井優、夏帆の三姉妹によるCMシリーズが展開されるという。また、IXYシリーズのCMにもオダギリジョーが引き続き登場する。