アメリカやイギリスでは一般的な存在だが日本ではまだ数店しかないという、独身の男女が集まり自由に会話のできるバー「シングルスバー」。六本木シングルスバー「GREEN」はこのほど、開店から3カ月で会員数1,000人を突破したと発表した。多忙な男女が"婚活"の場に選ぶ秘密とは?

六本木シングルスバー「GREEN」

身元はお墨付き! 落ち着いた紳士・淑女が集う

アメリカでは女性が男性を接待するという文化が希薄で、日本で言うクラブやキャバクラのような存在がない一方で、気の合う異性がいたら一緒にお酒と会話を楽しむシングルスバーという存在が、自然と広まっていったとされている。日本でも未婚率が高まる中、独身者への出会いの場を提供しようという動きも活発になり、2007年頃より六本木を中心にシングルスバーと名の付いた場所が増えているようだ。

このような時代背景から「GREEN」も2008年4月にオープン。広告もせずに短期間で会員数1,000人を達成したのも、同店は「独身者の割合が増えてきていることが影響している」と分析している。また、人気の理由の一つに「完全会員制」が挙げられる。身元がしっかりとしているのはもちろん、社会的マナーを備えた人に限定。初回来店時にふさわしくない目的で来店した人は入店を断るというほどの徹底ぶり。「純粋な出会いができる」(同店)ことが大切なのだ。

女友達と一緒に気軽に来店--男性3割に対し圧倒的に多い女性会員

男性会員は20代~40代のビジネスマンが中心だが、医師や弁護士、会計士など出会いが少ないという自営の人が多いのも特徴だという。女性会員は20代~30代前半を中心として大学生、OL、モデルが多く集まっているという。会員の構成比率は男性3割に対し女性が7割と圧倒的に女性が多い。女性は友人と一緒に来店することが多く、紹介も多いようだ。男女共に月1~2回の来店が多く、男性では週1回、女性では週2回以上来店する積極的な人も目立つという。

同店を訪れるとまず、女性会員は女性席へ、男性会員は男性席へと移動する。「お店に入ってきた男性はみんなさりげなくチェックしてますよ(笑)」(25歳女性会員)など、視線の先でお互いをチェックするのに余念がない。そして、気になる異性を見つけてスタッフに伝えると紹介されることとなる。あとは、ジャズが流れる落ち着いた雰囲気の中、出会いを楽しむだけ。インターネット上の出会い系サイトのような匿名性とは違い、相手も自分も身元が明らかなことで、行動にも責任を持たなくてはいけないという信頼性の高い"リアル"な出会いが繰り広げられる。「通常は『懐疑』からはじまる現代の男女の出会いにおいて、最初から相手のことを『安心できる』『信頼できる』という『信頼』からはじまるということはなかなかありません」と、同店もシステムに自信を持つ。

実際に友人と一緒に行った男性会員の声としては、「会話はよくありきたりな趣味の話とかなのですが、なぜかとても楽しくて盛り上がり、気づいたら3時間経っていました。その後、盛り上がったまま近くのクラブに遊びに行きました」。「私の周りでは婚活をしにコンパに行っているけど、気楽にこういった会員バーに来て飲んで、素敵な相手と知り合えればいいなって思っています」(20代後半女性会員)という声も。コンパやパーティーなどのような用意された場とは一線を画すリラックスした雰囲気の中、お酒と会話を楽しみながら「今夜は素敵な人に出会えるだろうか」と運命の出会いに期待し、夜のひとときを過ごしているようだ。