伊藤英明・内野聖陽主演の映画『252 生存者あり』の完成報告記者会見が16日、都内で行われた。伊藤、内野のほか、山田孝之、香椎由宇、木村祐一、MINJI、山本太郎、桜井幸子、大森絢音、杉本哲太らが出席した。
前列左から水田伸生監督、MINJI、桜井幸子、大森絢音、伊藤英明、内野聖陽、香椎由宇、原作者の小森陽一氏 |
同作は自然災害に対して世界でもっとも危険な都市といわれている東京が舞台。地震と台風によって崩壊した新橋駅構内に閉じ込められた元レスキュー隊員の祐司(伊藤)、その娘のしおり(大森)、研修医の重村(山田)、韓国人ホステスのスミン(MINJI)、大阪で中小企業を営む藤井(木村)。救助を待つ5人の元に、祐司の兄でレスキュー隊員の静馬(内野)らが救助に向かったが、暴風雨で行く手を阻まれる。捜索の打ち切りが下される中、音響探査機が、「生存者あり」を示すレスキュー信号「2、5、2」の打音を捉えた――。
東京消防庁のバックアップを得て撮影を行ったという本編は緊迫感充分。内野は「最初はレスキュー隊の人たちがどんな仕事をするのか知らなかったが、(実際にレスキュー隊の方たちと)会ってみて、頭脳明晰でなんてすごい人たちなんだろうと思った。彼らは日々訓練を積み、人々を救いだすために昼夜勉強している。このエキスパート性に強く惹かれました」と話した。
親交の合った原作者の小森氏からプロットを受け取った後、水田監督に話を持ちかけ、映画化のきっかけを自ら作ったという伊藤は「読んですぐに、ぜひ演じてみたいと思いました。自分にも家族という大切な存在がいるのに自己犠牲の精神を持つレスキュー隊の存在に魅力を感じましたね」と、テーマに強い興味を持ったことを明かした。
崩落した新橋駅のセットで行われた撮影は、巨大な扇風機で砂嵐を起こしたり、大量の水をキャストに浴びせたりなど過酷なものだったという。「砂が体にあたってとても痛かったし、口に入るとセリフを喋りづらくて大変でした」(香椎)、「一度だけ、撮影の後風呂に入らず寝てしまった時、枕が真っ黒になって驚いた」(山田)、「普通にメイクして普通の格好で撮影したのは最初だけ。後は泥だらけのメイクと濡れた衣装でした」(桜井)など、災害現場さながらの撮影エピソードがいくつも披露された。
その厳しい撮影現場の中で、伊藤が「癒された」と話すのが、"キム兄"こと木村の「キム鍋」と娘役の大森の存在という。木村は「そんなに気に入ってくれたのなら、今度家に伺ってふるまわせてもらいます」と返答し、大森は「伊藤さんや木村さんに優しくしてもらってうれしかったです」と愛らしい笑顔。「男性陣に優しくしてもらったんですね」と司会者に問いかけられると、「はい。……女性にも優しくしてもらいました」と桜井・香椎に気を使った返答をするなど、8歳とは思えないしっかりとした印象だった。
水田監督が「僕らの『命を懸けて撮ります』は大抵ハッタリだけど(笑)、レスキュー隊の方たちは毎日命を懸けて仕事をしている。他人のために命を投げ出す人の気持ちを知りたくて撮った」と話すなど、全体を通して、レスキュー隊のリアルな姿を伝えようというスタッフとキャストの熱意が伝わってくる会見となった。『LIMIT OF LOVE 海猿』に続く、伊藤の代表作となるか。12月の公開が待たれる。
『252 生存者あり』は12月6日(土)より全国ロードショー。
(C)2008「252」製作委員会
(取材・文/チーム丸顔)