米Intelは9月15日(現地時間)、"Dunnington"の開発コード名で呼ばれていた6コアのプロセッサ「Intel Xeon Processor 7400 Series」を正式発表した。サーバ向けのMPプロセッサで、2008年末のリリースが予定されているNehalemではなく現行の45nm製造プロセスのPenrynがベースとなっている。同日よりの出荷開始で、OEMベンダー各社からは同プロセッサを搭載したサーバ製品が続々と発表されている。また正式リリースに先立ち同社は米カリフォルニア州サンフランシスコ内で発表会を開催した。
米Intelのデジタルエンタープライズ部門ジェネラルマネージャ兼バイスプレジデントTom Kilroy氏 |
6コアの"Dunnington"こと「Intel Xeon 7400」シリーズ。アーキテクチャが完全に変更されるNehalemに対し、既存のXeon MPサーバ製品を持つユーザーに資産保護を目的としたアップグレードパスを提供するのが狙い |
今回発表されたXeon 7400シリーズは、Xeon製品でも最上位にあたる7000番台のMP(マルチ・プロセッサ)シリーズで、4コアの7300シリーズの後継にあたる。前モデル同様に45nm High-kを採用し、コア数を6つに増加、L3キャッシュを12MB搭載した製品だ。7300番台とソケット互換であり、そのまま7400に載せ替えることでシステムのアップグレードを図れる点が特徴となっている。米Intelのデジタルエンタープライズ部門ジェネラルマネージャでバイスプレジデントのTom Kilroy氏は「顧客のパフォーマンス要求と電力やスペース問題などの悩みを同時に解決するソリューション」と製品の位置付けを説明する。ソケット互換ながらも載せ替えでそのままパフォーマンスの大幅な向上が期待できるのも強みで、スライドの中で7300のシステムと比較したアプリケーションごとのパフォーマンス向上率を紹介。その種類によっては1.5倍と、コア数増加分の効果がそのまま享受できるという。
クァッドコアのXeon 7300シリーズを1とした場合、Xeon 7400での動作パフォーマンスをアプリケーションごとにまとめたグラフ。1.48倍とほぼMAXに近いスコアが出ているアプリケーションもある |
Intel VT FlexMigrationを利用してリソースのプール化によるフェイルオーバーやマイグレーションを実現する「Virtualization 2.0」 |
Kilroy氏が7400シリーズのセールスポイントを紹介する中で最も強調したのが仮想化(バーチャライゼーション)機能だ。前モデルの7300から導入された「Intel VT FlexMigration」ではVT環境上で動作する仮想マシン(VM)をCPUの呪縛から解き放ち、VMwareといった仮想化環境管理ツールによってプロセッサからプロセッサ、システムからシステムへと自在に移動させることが可能になる。このようにしてVMが消費するリソースを仮想化プールとして保持することで、フェイルオーバー、ディザスタリカバリ、ロードバランシング、システムメンテナンス時の待避など、さらに柔軟なシステム運用が可能になる。こうしたリソースのプール化やマイグレーション、I/Oの強化された次世代の仮想化環境を「Virtualization 2.0」と同氏は表現していた。
また発表会ではシリコンバレーに居を構える著名なユーザー企業らによるディスカッションも行われた。新プロセッサ導入の効果としてMySpaceやYahooなどのユーザー企業らが特に強調していたのが「パフォーマンスの増加」で、現状のスペースを維持したまま新サービスの提供が可能になるなど、限られたオフィススペースの有効活用やコスト削減につながっていると説明する。省電力についても同様で、コロケーションのスペースが限られる大規模サービス事業者においては、スペース圧縮とそれにともなう冷却・通電コストの削減に大きく寄与しているという。また仮想化の重要性を強調していたのが米Oracleだ。積極的な買収を仕掛ける同社は買収後の企業のシステム統合作業がたびたび発生するため、それらレガシーシステムを取り込んでサーバ統合を行うのに必要不可欠なものだという。