乗り物としての自転車にはルールやマナーがある
8月に掲載した「この夏、10万円で始めたい!? スポーツサイクルの正しい買い方」でも触れたように、近年増加の一途をたどっているスポーツサイクル。今までママチャリに乗っていた人はもちろん、ここ数年は自転車なんて持っていなかったなんていう人も、趣味と実用、そして健康のためにスポーツサイクルを手に入れるようになってきた。
しかし、自転車は比較的気軽に買うことができる上に、自動車のように運転免許もなく、誰でもまたがって走り出すことができる。そのため、本来「乗り物」として求められる当然のマナーや交通ルールを守らずに、スポーツバイクで路上を「暴走」している人を見かけるケースも目立ってきた。そこで、これから2回にわけて、スポーツサイクルに乗る上で最低限知っておいてほしいマナーを「出で立ち編」と「路上編」の2回にわけてお送りしたい。今回は「出で立ち編」ということで、格好や装備といった点に注目する。
車道を走るならヘルメットは必須
「自転車は道路のどこを走るべきか」ということについては次回詳しく触れるが、本来自転車は車道を走る乗り物だ。そしてスポーツサイクルは、車道を走るに相応しい性能を持っている。ふつうの体力がある大人がクロスバイクに乗れば、20km/h以上のスピードで巡航することはたやすい。そして、そのスピードで転倒すれば、身体に受けるダメージも大きいということを覚えておいてほしい。
そこでまず、頭部を守るヘルメットは必須。裏道をつないで走って近所のコンビニに行く程度ならノーヘルでも何ら問題は無いが、通勤や通学、週末のサイクリング等でそれなりの距離を乗ったり、車道を走ったりする際は必ずヘルメットを着用しよう。
さて、ヘルメットをかぶる上でビギナーがやってしまいがちなのが「逆ヘル」だ。そう、前後逆にかぶってしまうこと。確かに、逆向きでもスッポリとかぶれてしまうモノもあるのだが……製品写真などで向きを確かめて、ストラップをしっかりと締めて着用しよう。
グローブで手を保護しよう
自分の身を守るグッズを引き続き紹介しよう。グローブもぜひ着用して欲しい。自転車で転倒すると、どうしても擦過傷を負うことが多い。手のひらをケガすると厄介なので、グローブで保護しておこう。ハンドルを握っているときの手への負担や疲労度も、素手よりは軽減される。
アイウェアで目を守る
アイウェアも、日よけというより「目を守る」という意味で必須。路上を走っていると、結構小石などがはねてくるものだ。通勤や通学等で夜間走行の多い人は、クリアレンズを用意しよう。
鳴らしまくるのは良くないが、とはいえ必須のベル
スポーツサイクルは、ベルが別売であることも多い。見通しの悪い道路で稀に「警笛鳴らせ」の道路標識を見かけるが、この標識がある場所では、自転車も警笛を鳴らさなくてはいけない(道路交通法第54条)。したがってベルは必須。ただし、人や他の自転車を蹴散らかすための装置ではないので注意。
ライトは自分が見えるかどうかより、他人からどう見えるか
未だに無灯火で自転車に乗っている人が多いのが不思議だ。ときどき「だって、自分は見えてるし」という信じられない言い訳をする人がいるが、仮に街路灯などがあって自分には周囲が見えていても、周囲の他の人やクルマからその自転車が見えているとは限らない。というか、思いのほか「見えてない」のだ。ライトは、周囲に自分の存在を気づかせるための大事なモノだということを心得てほしい。
ところで最近、赤いライトをハンドルバーに取り付けている人を見かけることがある。公安委員会規則や道路交通法施行規則で、尾灯や後部反射器の色は赤と定められているし、町中を走っているクルマを見れば「赤=尾灯」であることは考えるまでもない。夜間、赤いライトを自転車の前部に取り付けて走っていると、進んでいる方向を誤認され、最悪の場合は正面衝突を誘発することになるので、絶対にやめてほしい。
ということで、スポーツバイクで路上に出る際に必須な装備を「マナー」という観点から紹介した。今回撮影に協力していただいた自転車店「たかだフレンド」の高田店長(モデル役はそのご子息)は「"自分は大丈夫"という根拠の無い自信を持って、ヘルメットなしで車道を飛ばしている人を見ると、危うさを感じる」と話す。「昔は、ロードレーサー等に乗るときはヘルメットより柔らかい"カスク"というものをかぶっていましたが、今のヘルメットはカスクよりはるかに頭を保護してくれます」という高田店長。「規制されて"着用しろ"と言われる前に、自分たちでヘルメットを当たり前にすることが必要」とも話す。
さて、次回は「路上編」と題して、スポーツサイクルの走行マナーについて紹介したい。
取材協力 : たかだフレンド
http://takada-friend.com/