「Photosynth」から感じる未来

写真から特徴点を抽出してカメラの位置と距離を認識し3D空間を自動的に生成するというPhotosynthの技術は、大きな可能性を持っています。合成した写真の特徴点を見ると、正確にクマのぬいぐるみの立体的な構造が認識できています。単に写真を3D空間に配置してみるだけの技術ではなく、写真から空間を作り出す技術として考えれば、その応用範囲は広がります。

抽出された特徴点

現在も、物体をスキャンして3Dモデルを生成する産業向けの機器は販売されていますが、数百万単位の高価なハードウェアを購入しなければなりません。Photosynt の技術を応用すれば、専用機器を購入しなくても、デジタルカメラで撮影した写真から 3Dモデルを生成することができるようになるかもしれません。そうなれば、モデリング技術を持たないアマチュアにとっても3Dが身近なものになるでしょう。

または、「Flickr」のような写真共有サービスと、位置情報や地図サービスと組み合わせて写真の撮影地点などを特定し、既存の特徴点と重ねながら写真を追加するような仕組みを作れば、自動的に世界中からアップロードされる写真を3D空間に統合するようなサービスを実現できるかもしれません。数百枚の写真から作った空間からは価値を感じないかもしれませんが、数百万枚という写真を重ねて合成した膨大な特徴点の情報を持てば、そこには大きな価値が生まれます。この方法であれば、人間がモデリングしなくても、世界中を3Dモデルに変換できます。

実際に、MicrosoftのFun Computing内にあるPhotosynthの紹介ページには「写真共有サイトとPhotosynthの統合や、Photosynthによる3次元都市空間モデル構築などの計画もある」と書かれているので、すでに動き始めているようです。他のWebサービスとPhotosynthを統合することで、その価値を大きく高められることは間違いありません。3D化した都市をVirtual Earthと統合するといった方向も考えられ、今後に期待したい技術です。