朝晩が涼しくなったとはいえ、残暑はまだ厳しい。オフには木陰や水辺に涼を求めてお出かけしたくなるのも無理はない。箱根、日光、軽井沢、蓼科といった有名避暑地に行ければよいけど、週末ごとにこれらの有名観光地に行っていたのではお金がいくらあっても足りはしない。
そこで、高尾山などの近場の観光地に人気が集まっているわけだが、高尾山でさえ新宿→高尾山口(370円)とケーブルカー(470円・往復だと900円)で正規料金だと往復1,640円。交通費だってばかにならない。
それでも高尾山に行くなら、京王電鉄の「高尾山往復割引乗車券」がオススメだ。京王電鉄の各駅で販売していて、土休日は約1割引、平日は約2割引になる。京王新宿駅からだと正規料金1,640円のところ、高尾山往復割引乗車券なら土休日は1,480円(160円割引)、平日は1,320円(320円割引)になる。
高尾山もよいけれど、食料品の高騰は止まる気配なし、電気料金も大幅値上げが予定されていることだし、レジャー費、交通費は少しでも抑えたいところ。東京は実は都心や23区内にも緑豊かな緑地や水辺は意外に多い。残暑を乗り切るため、あるいはこれからの秋の行楽シーズン、都心の自然スポットに注目してはいかがだろうか?
都内なら、通勤ルートに意外な穴場があるかもしれず、通勤ルート途上で楽しめば、定期券がある人は交通費フリーで行くことができる。交通費がかかったとしても、有名観光地に行くのと比べればわずかですむはずだ。
御殿山ヒルズ、泉ガーデン……都心には緑がいっぱい
東京は実は緑豊かな都市だ。残暑厳しい季節は、木陰が恋しいが、都心部にも緑豊かな散歩エリアはたくさんある。仕事エリアの近くでも、オフタイムに行けば、いつもとは違う風景を見せてくれるし、職場近くでもビジネスタイムにはなかなか行けない場所に休日に行くと、「都心にもこんな場所があったのか! 」と新鮮な感動を味わえるものだ。
たとえば、品川駅からほど近い御殿山ヒルズの御殿山庭園。鬱蒼とした林に覆われ、人工だが滝もありちょっとした渓谷の気分。ホテル・ラフォール・トウキョウの庭園も兼ねているが、無料でだれでも利用できる。現代アートが好きな人は隣接した原美術館を訪ねてもよいだろう。
品川を訪れたついでに「品川スカイウエイ」にも寄ってみよう。高層ビル群の人工的な空間だが、中庭には公園が広がり、木陰が涼しい。ここは秋には黄葉が美しく、隠れた紅葉スポットになる。
東京メトロ南北線の六本木一町目駅上の泉ガーデンも意外に緑豊かなスポット。ここはかつて住友会館の庭園があったところ。超近代的な高層ビルの下に緑地が広がる。このビルの裏手、スウェーデン大使館横から入る城山ガーデンの散歩道もおすすめ。この散歩道を抜けると日比谷線の神谷町駅前に出る。ここから東京タワー下に抜けると一帯は芝公園。真夏でも涼しい木陰が広がる。
JR目黒駅、メトロ南北線から近い白金・自然教育園も四季を通じておすすめの自然スポットだ。深山のような深い緑に覆われ、都心とは思えない手つかずの自然が残っている。今の時期、ミズヒキ、キツネノカミソリ、ヤブラン、ナンバンギセルなど、秋の野草が咲き乱れ、池にはカメや野生のメダカ、淡水ハゼ、カワエビが泳ぐ。深山に生息するザトウムシなど貴重な生物にもお目にかかれ、下手な観光地よりも自然を間近に感じることができる。
このほか、上野公園、新宿御苑、浜離宮公園、小石川後楽園、六義園などなど、都心エリアには数多くの散歩エリアが点在している。いずれも半日あれば楽しめるところばかり。1日かければ2カ所楽しむことも可能だ。
おトクな回数券、1日乗車券を使いこなす
都心散策は定期券が使えればベストだが、回数券、1日乗車券を利用して交通費を節約しよう。東京メトロや東急電鉄、京王線などの私鉄には、普通回数券のほか、時差回数券、土休回数券がある。普通回数券は乗車券10枚分の値段で11枚、時差回数券は12枚、土休回数券は14枚発行される。時差回数券は平日10時から16時までと土曜日と日曜日、祝日などの休日に全日利用できる回数券、土休券は土曜日、日曜日、祝日などの休日に利用できる乗車券。電車というとPASMOやSuicaを使ってしまいがちだが、PASMOやSuicaでは乗車券の割引はない。回数券は格安で乗車できておトク。東京メトロの回数券では、たとえば160円区間の回数券で190円区間に乗車した場合、差額の30円を払えばよいなど、使い勝手もよい。有効期限は約3カ月、期限内に使い切ることができれば交通費の大幅な節約になる。
東京メトロに何度も乗り降りする場合は、1日乗車券がおトクなこともある。700円で東京メトロに乗り放題になる。また、私鉄線では、私鉄線から東京メトロ接続駅までの往復乗車券とメトロ1日乗車券がセットになった乗車券があるところがあるので、利用する私鉄のHPでチェックしてみよう。
丸田潔(マルタキヨシ)
1952年東京都生まれ。76年早稲田大学文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て90年フリーに。マネーライターとして生活情報誌、主婦向け雑誌、マネー誌などで活躍中。金融商品や保険に関する記事のほか、家計や節約の実例記事を数多く手がけ、今までに取材した貯蓄・節約体験の実例は1,000例を超える。近著に『お金がたまる人たまらない人ーなぜあの人はお金がたまるのか』(主婦の友社)