米Plastic Logicは9月8日(現地時間)、サンディエゴで開催中のDEMOfall 08で、プラスチック・エレクトロニクス技術を用いたリーダー端末「Plastic Logic Reader」のデモを披露した。
Plastic Logic Readerには英ケンブリッジ大学で開発されたプラスチック・エレクトロニクス技術が採用されている。フレキシブルなプラスチック基盤上に、低温プロセスで有機トランジスタが配列されており、シリコンベースの技術よりも低コストで、軽く環境にも優しいディスプレイを製造できる。これにE Inkの電子インク技術を組み合わせて、低消費電力のリーダー端末に仕上げた。
Plastic Logic Readerのデモ用デバイスはAmazonのKindleのおよそ3分の1程度の薄さで、ディスプレイ面はUSレターサイズに相当する8.5×11インチ(約216× 約279ミリ)だ。MicrosoftのWord/ Excel/ Powerpoint、AdobeのPDFなどのドキュメント形式をサポート。有線/ 無線での通信に対応し、数千枚規模のドキュメントを保存できるストレージを本体に装備する。ドキュメントの管理や表示などの操作はジェスチャーを使って行う。
「デジタルリーディングを快適にする大きな要素はディスプレイである」とDEMOのエグゼクティブプロデューサであるChris Shipley氏。「今日の電子リーディングデバイスのディスプレイは、サイズ、耐久性、重量のいずれの点でも好ましくないガラス素材の小さなスクリーンである」と指摘する。リサーチグループIDTechExの予測によると、プラスチック・エレクトロニクスは2015年までに300億ドル市場に成長する。
Plastic Logicは、2008年9月にドイツのドレスデンにプラスチック・エレクトロニクスの製造施設を開設する予定で、すぐにPlastic Logic Readerの製造に着手し、2009年前半には出荷を開始するという。オンラインストアでの販売のほか、出版社や情報サービスとの提携を通じた提供を計画している。価格については、他の電子リーダーと競争力のある範囲に収めるという。