富士通 常務理事 環境本部本部長 高橋淳久氏

リサイクル事業について富士通の常務理事で環境本部 本部長 高橋淳久氏は「低炭素で豊かな社会というのは、循環型社会でなければならない。廃棄物の適正処理というのは、循環型社会を作る上で非常に重要である」と語った。

また、エフアイティフロンティア 取締役の高橋淳彦氏は、リサイクル事業として黒字化したいが、採算は再生用材料の買い入れ価格に大きく左右される。現在は益が出やすい時期だが、上海万博等の大きなイベント終了後の市場の下落という懸念もあり、今後は処理量を増やし、安定したビジネスを展開したいと語った。

エフアイティフロンティア 取締役の高橋淳彦氏

現在、IT機器の回収ルートは、富士通製の家庭向けPCの場合は、コールセンターで廃棄依頼を受け付け、日本郵便を利用して再資源化プラントに持ち込まれる。一方、事業系のIT製品は、富士通リサイクルセンターなどが受け付け、同センターが収集運搬会社に依頼して回収される。

家庭向けPCの回収率アップを妨げる要因としては、廃棄されずに家庭内で保管されていることや、無料の回収業者の存在などがあるが、2003年に販売が開始されたリサイクルマーク付きのPCの廃棄も始まっており、今後は回収率も上がっていくだろう(高橋淳彦氏)と述べた。

家庭向けPCの回収ルート

プラスチックのリサイクルによって作成されたうちわやボールペン。上部のガラス容器の中にあるのは、粉砕された緩衝材やプラスチック

リサイクルを意識した製品設計

富士通では国内法規制対応として、1993年より、自社ガイドラインに基づく製品環境アセスメントを実施し、省エネ、リサイクル、化学物質規制に対応した環境配慮型製品を開発してきた。1998年には、海外の自主規制に対応したグリーン製品を、さらに2004年からはトップレベルの環境要素に対応したスーパーグリーン製品の開発を行っている。現在では、すべてのIT製品がグリーン製品となっており、2009年には、半数の製品をスーパーグリーン製品に対応させる予定だという。

環境配慮製品の1つPCサーバ「PRIMERGY RX300S4」。従来機(PRIMERGY RX300S3)より75%の省電力化、73%の質量・体積削減、53%の部品点数削減を実現したという

そのため、製品の設計段階においては、3次元設計シミュレータ「VPS」を用いて、使う資源を少なくする工夫や、解体しやすい構造の設計をサポートしている。

シミュレーションでは、素材リサイクル率別表示や有害物質含有表示(左)や、解体順序シミュレーションが行える(右)

富士通の解体対象は現在500製品にもおよび、これらには部品構成や含有化学物質などを記述する解体マニュアルが用意され、電子管理システムによって管理されており、解体シミュレーションの映像を見ながら、解体することも可能だという。

解体マニュアルを電子化