GodsonプロセサはMIPSアーキテクチャのプロセサであるが、x86命令をエミュレーションするサポート機能を備えていることが一つの特徴である。Godson-3の汎用コアでは、x86互換のために200以上の命令を実装して、現在のGodson-2に比べてx86互換機能を強化する。これらの命令の実装に必要な追加のシリコン面積は5%であるという。これによりx86命令の実効性能をMIPSネーティブ命令の80%程度に引き上げるのが目標であるが、現状では、40%~50%しか性能が出ていないという正直な発表であった。
このチップはSTMicroelectronics社の65nmプロセスで製造され、2008年には4個の汎用コアと4MBのL2キャッシュを集積するチップを開発する。このチップの消費電力は、1GHzクロックでの動作の場合、10Wの見込みである。発表後の質疑の時に会場からチップサイズの質問が出て、その場では調べて回答するという回答であったが、その後、168平方mmと回答された。このチップ面積と発表されたレイアウト図を合わせて考えると、4個のGS464コアの占める面積はチップ全体の20%程度であり、1個のコアは約9平方mmとコンパクトなコアである。
そして、2009年には、前の図に示した8コアのチップを開発する。このチップのL2キャッシュ量は4MBのままで、1GHzクロックでの消費電力は20Wである。この2009年チップの8コアは同種のコアではなく、4個の汎用コアと4個のSIMDコア(Multi Purposeコアと呼ぶ)を集積する計画である。
この2009年Godson-3チップを使って、2010年にはペタフロップスのスパコンを開発する計画である。発表の中で、Multi Purposeコアは16GFlopsという発言があり、クロックは1GHzを想定しているようである。とすると、この8コアチップの性能はGPコア部が16GFlops、MPコア部が64GFlopsであり、合計は80GFlopsとなる。このチップを使って1PFlopsのシステムを作るには12500チップを必要とするが、実現可能な規模の範囲である。日米は、2012年ころには10~20PFlops程度のスパコンを開発する計画であり、まだ、追いついてはいないという感じではあるが、中国の足音は日米のすぐ背後に迫ってきているという印象であった。